もしかしたら ページ9
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珍しく二度寝せずに目が冴えた。
昨日、丸ちゃんと別れたあと初めての学校、サークルや慣れない一人暮らしでぐっと疲れて、いつもならちゃんと食べる夜ご飯も適当に済ませ10時過ぎにはもう寝てしまっていた。
そんな早く寝れば朝目が冴えるのも当たり前か、なんてぼんやり考えながら学校に向かう準備をする｡
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｢たっちょーん！！｣
家を出て少し歩くと聞き覚えのある声と呼び方が聞こえる。
振り返ると丸ちゃんが満面の笑みで手を振ってくれている。
知らない環境での知っている人は相当安心するもので、思わず頬がほころぶ。
｢丸ちゃん！朝から元気やね。少し緊張してたから丸ちゃんと会えてよかったー！｣
｢丸ちゃんが元気なのはたっちょんの顔を朝から見れたからや！まだ慣れない環境やから大変やと思うけどなんでも聞いてや？｣
思わず照れてしまうような言葉をさらっと言えてしまう丸ちゃんはやっぱり人たらしやな、と思いながらも内心嬉しさでいっぱいだった。
丸ちゃんと学校まで行き、授業のガイダンスがあるためそれぞれ別の教室へ向かう。
｢おはよ！｣
教室に着くと、昨日一緒に話した友達達が既に揃っており、話しかけてくれる。
そのまま話題はサークルのことになり、INFINITYに入ったことを告げると1人の友達が驚きの声を上げる｡
｢INFINITYってこの大学で1番上手くて1番イケメン揃いなバンドじゃん！昨日見学にいったテニサーの先輩が言ってた！｣
よく聞くと、それぞれにファンクラブがつくられるほどの人気らしい｡
｢なかでも丸山先輩？って人が1番人気なんだって｡顔は他の人の方が良かったりするらしいんだけど、なんでもめちゃくちゃ優しいらしい。狙ってる女子もたくさんいるらしいよ。｣
｢うわ、イケメンで優しいとかずるいよなー。｣
｢ほんとそれ｡俺もそんな体験してぇー。｣
｢大倉もイケメンだからちょうど良かったかもな！モテる男は羨ましいぜ。｣
ほかの4人がわいわい話しているなか、何故か心にあるのはモヤモヤだ｡
サークルの先輩達はたしかにみんなかっこいいしいい人達ばかりだからモテるのは容易く想像できる｡
でも丸ちゃんが1番人気で1番モテていると聞いてないわたまらなく不安になった。
一瞬芽生えた感情に"もしかしたら"と思ったが、慌ててそんなはずはないと頭を振った。
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作者名：桔梗 | 作成日時：2019年1月16日 20時
