愛を止めないで (ページ8)

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昔ページ8

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甘い雰囲気の中、丸ちゃんが"俺も学生寮やねん、一緒に帰ろうや！"って元気に言ってくれたから空気はまたもとに戻りほっとした｡

｢もぉー丸ちゃん人たらしやろぉ｡俺、男なのにドキッとしてもうたやんか。めっちゃモテるやろ？｣

丸ちゃんは俺を見て心底嬉しそうな顔をする｡

｢え、たっちょんドキドキしてくれたん？丸ちゃんめっちゃ嬉しいわぁ。
でも残念ながらモテへんのよ。そう言うとたっちょんの方がモテるんと違うん？｣

丸ちゃんの言葉に笑いながら自身の過去の恋愛を思い出す。

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中学時代は正直モテなかった｡
都内に出てきて高校に通い始めた1年目辺りまではモテなかった。
高校2年あたりからだんだん周りの女子がきゃーきゃー言うようになった。

｢バレンタインのチョコも結構たくさん貰ったんよ？｣

なんて笑いながら丸ちゃんに言ってみる。
丸ちゃんが一瞬顔を曇らせた気がするがまたすぐに笑顔になり、"やっぱモテてたんやね"と納得したように頷く。

｢でも俺いつも振られるんよね。｣

高2が始まってすぐに告白してきたクラスの子も

夏の合宿で好きになった先輩も

バレンタインに緊張しながらチョコをくれた後輩も

みんなそろって2、3ヶ月で別れを切り出してくるのだ。

｢みんな絶対に俺以外に好きな人ができるねん｡
しかも、もう忘れたけどだんだんみんな同じような匂いした頃に別れ話されたんよね…
その当時は俺の事嫌いな奴に根こそぎ奪われてるんかと思っとったもん｡｣

そう話せば丸ちゃんはすごく驚いた表情をしていた。不思議になって"どうしたの？"と顔をのぞき込む。

｢いや、こんなええ子を手放すなんて考えられへんなって｡｣

ちょっと茶化しながらも丸ちゃんがそう言ってくれたのが嬉しかった｡

気づいたら学生寮に既に到着していた。

｢じゃたっちょん明日もサークルあるからまたそこでな。｣

そう優しい笑顔で手を振られたから"また明日ね"と同じように振り返す。

その時に感じた胸のざわめきがなんなのか俺にはまだわからない。