ようやく ページ6
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｢じゃお前このドラム叩いてみ｡｣
講義棟を出て2.3分歩いたところにある棟の一室に入った途端すばるくんにそう言われる。
｢丸が連れてきたから悪い奴ではないやろうけどドラムが上手くなかったら意味ないやんか。｣
スティックを渡すとすばるくんはドラムの近くの机に持たれて俺を何も言わずに見ている。
困ったように丸ちゃんを見てもニコニコしているだけだ｡
覚悟を決めてドラムセットに向かい合う。
受験勉強で一年近くまともに触れていないそいつに少し緊張する。
スティックを握りしめる｡
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｢ええ音してるやん｣
一瞬だった。気がついたら無我夢中で叩いていた｡
そこには楽しいという感情しかなくて｡
すばるくんに褒められて、嬉しくて、思わず丸ちゃんを見たら
｢あたりまえやん、大倉くんは俺が連れてきたんやもん！｣
なんてなぜか自慢げな顔をしている。
｢まる、めっちゃええドラムの子連れてきたんやね！｣
入口の方からいきなり高い声がしたかと思うと、そこにはすばるくんと同じくらい小柄なニコニコした男の人と少し肌黒い濃い顔イケメンの不機嫌そうな男の人が立っていた。
｢そうやろぉ！章ちゃん！丸ちゃん頑張りました！｣
元気に顔の横でダブルピースをしている丸ちゃんに濃い顔イケメンの人がさらに険しい顔になる。
｢丸、調子のんなや。｣
濃い顔さんと丸ちゃんって仲悪いのかな、と視線をふらつかせていると声の高い"章ちゃん"という人が
｢ごめんね、いきなりで怖かったやろ？亮さっきまで寝てたから機嫌悪いねん。｣
なんて満面の笑みで言ってくれた。
｢俺、安田章大言うねん。ヤスとか章ちゃんとか言われているから好きな呼び方でよんでや？で、こっちの怖いのが錦戸亮｡俺ら2人ともギターやねん。｣
｢章ちゃんそんな言い方せんでや。俺のことは亮とかそんなんでええよ。｣
終始ニコニコと柔らかい笑顔を向けるヤスくんといきなり困ったような顔になった亮ちゃんが自己紹介をしてくれた。
自分も挨拶をする｡
｢大倉！今日からお前はINFINITYの一員や！よろしくな！｣
すばるくんの一言で俺は晴れてINFINITYに入ることが出来た｡
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作者名：桔梗 | 作成日時：2019年1月16日 20時
