お団子頭のメイクさん (ページ3)

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「あ」

「あ、」

目が合ってついつい、あ、と声を出してしまった。

、、のは彼女も同じようだった。

「おはようございます～」

「おはようございます、、」

脚立を担ぐ彼女を不思議に思いながら挨拶を返す。

電気ついてないから誰もいないかと思った。

「何してるんですか？」

「練習室の電気切れたから変えておくように言われて、、」

「オレやりますよ」

なんでそれをメイクさんに頼むんだ？

「ええっ何言ってるんですか、とんでもないです」

返事をする前によいしょよいしょと一段ずつ上っていくメイクさん。

「ちょっと待ってください、支えますから！」

「すみません、ありがとうございます」

上る度にグラグラする脚立を急いで支えに行く。

近くで見ると、脚立の一つの足先だけ何かの部品がついていなかった。

まったく、、

「なんで建付けの悪いのしかないんでしょうかね」

…その通りですよまったく。

「備品系はこの会社終わってますよね、Wi-FiとかWi-Fiとか…」

「ドヨンさんも結構正直者ですね笑」

アッハッハと振り仮名が付きそうなくらい豪快な笑い方をするメイクさん。

…こんな感じの人なのか。

そういえばこうやって話すの初めてかも。

たまにオレの担当になるだけだから。

「あ、貰いますよ」

取り外した電球を受け取ろうとするとぶんぶん首を振られる。

「熱かったら危険なので大丈夫ですよ！」

「て言いながら素手で触ってますよ」

電気つけてなかったのはそのためかと思ったのに

…天然？

「ははは、、」

じゃあと言って恥ずかしそうにしながら渡してくれる。

正確には渡そうとしてくれた。

「おっ、、おお」

思った以上に高いつくりの建付けの悪い脚立は、彼女が体を下に傾けた途端に大きくぐらついたのだ。

こういう時ってほんとにスローモーションに見えるんだ。

メイクさんを抱き寄せた次の瞬間、鈍い音が練習室に響いた。

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