【K】闇夜の中の少年【男主】 (ページ7)

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治療ページ7

しゅるしゅると
十束が慣れた手つきで紫城の左肩に包帯を巻いていく

少し赤く腫れた肩は
じんわりと熱を持ち痛んでいる

紫城の予想以上に酷いのかもしれない

「人を連れてきたのは、これが初めてやな」

煙草を吹かしながら紫城を見つめる草薙の言葉に
十束は明るく笑う

「うん、まあね。
怪我をしてたのもあったけど、前に見たことあったから話もしたかったんだよ。

俺達のこと、知ってるよね？」

話を振られ
紫城は居心地の悪さから唇を尖らせる

「十束はさっき聞いた。
草薙出雲と、赤の王の周防尊。

その幹部。

吠舞羅、でしょ」

「八田や伏見とは知り合いなの？」

「…まあ。
中学同じだし…一応は」

バー･HOMRAの前にjungle所有者がミッションのために集まった
紫城は既にjungleの使用をやめているが、おそらくそれは正解だったとその時知った

あれはゲームの域を越えていた

ふと紫城は
気になったことを口にした

「十束は…」

「ん？」

「十束は
どうして、周防尊をキングって呼ぶわけ？

赤の王だから、って理由じゃないでしょ」

パチリと瞳を瞬いた十束は
その問を予想していなかったのだろう

誰だってキングと聞けば
ああ、赤の王様だからかと納得してしまいそうだ
しかし、紫城はそれをこの数分で違うのだと見破ってみせた

自然と
十束に笑みが浮かんでいた

「俺にとってキングは
キング、だからだよ」

――初めから

その言葉を聞いて紫城は周防に視線を向ける

終えた治療の礼を言い服を着直した紫城は
左肩をあげてみる

折れてはいなさそうだ

「帰るの？」

わかっているくせに
そう問いかけた十束に、紫城は首を横に振る

欲しい、その赤が
その温かさが

心の奥底から湧き上がる好奇心
力を求める欲望

そうだ
1人でも生きて行けるくらいに

いや、違う

ここに、いたい

たった数分で
そう直感した

そんな感情に
紫城はつい吹き出した

「(らしくねえな、温もりを求めるなんて)」

自分には無縁だから、求めてしまったのだろうか

見守られる中
誰も止めない中

紫城は
周防の前に立った

起き上がった彼は気だるそうに
けれど
しっかりとその瞳に紫城を映した