【K】闇夜の中の少年【男主】 (ページ5)

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喧嘩ページ5

季節は過ぎ
受験を終えた者もいた

伏見と八田は進学しないらしく
紫城もあの日以来特別2人と関わりを持とうとはしなかった

吠舞羅といえば
この街で噂されていた
“赤い怪物”

別名
赤の王

「王様…
力、か」

夏に紫城はその力を初めて目にした
八田と伏見の2人が、おそらくゲーセン帰りかなにかだったのだろう

伏見のコーラをひったくり飲みきった八田が
投げたその瓶の先にいたのが、赤の王

一瞬にして炎に包まれ
溶けて消えた瓶を見て、紫城は胸が踊った

あの力が欲しい
あの力をもっと間近で見たい

何者にも屈さない力を

2度目はjungleのミッション中だった
赤の王を引っ張り出すために鳴らされ噴出されるクラッカー
それを高みの見物していた紫城は

そこで何かをしようとしていた伏見と八田を見かけた

おそらく、2人はjungleとの勝負に負けた

だから狙われて
伏見は参加者であった大貝にクラッカーを向けられ怪我をした

それを助けたのが、赤の王

あの時見た
その近くにいた男が、紫城の興味を引いた

ﾄﾞﾝｯ

裏路地に入ろうとしていた所で
余所見をしていて紫城と誰かの肩がぶつかった

運悪く端末を落としてしまい
反射的に舌打ちした紫城はそれを拾い上げる

「あ？」

ガラ悪く振り返った男3人を一瞥した
紫城は興味なくそのまま路地裏を進もうとした

しかし
その肩を捕まれ、思い切り壁に叩きつけられた

ミシリと骨が嫌な音を立て、握り締められた肩に相手の指がくい込む

「ってぇな…」

直接的な痛みに眉を顰めた紫城が
冷めた瞳で相手を見上げれば
醜く笑う顔

「そっちからぶつかっておいて、その態度はねえんじゃねえの？」

「ほら、今なら謝れば許してあげるよ？」

「すみませんでしたって土下座しろよ」

何が面白いのか
品の欠片もなく笑う男達
できれば相手にはしたくなかったが、紫城がバカにされて黙っているわけもなく

「ぶつかってきたの、そっちじゃん。
群れないと何もできねえ奴らが、何威張ってんの？
ああ、それとも、そうしているのがカッコイイととか思ってんの？

だっさ」

鼻で笑い飛ばした紫城の
その一言で
彼らは青筋をたてた

「このっ…ガキが！」

振り上げられた拳に
少しの楽しみを見出して、紫城はほくそ笑んだ