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模範であるべきである ページ31

アンナは赤のクランを選ぶ
正確には、周防尊を

紫城はそれを確信している


「彼女は君らのことなど選ばない。
それよりも、自分の身を案じた方がいいのではないかね」


「裁きたいなら裁けよ。
別のクランズマンを裁くには、それ相応の手続きがいる…

あんたが、白日の下でそれができるくらいに後ろ暗いことがないか。
本当は、アンナを脅してるだけじゃない?
あんな小さな子の未来を奪ったのは―――ッ!!」


瞬間
紫城の腕を捻り上げていた青服が力を込めた

みしっと激痛が走り
咄嗟に声を押し殺そうとして噛んだ紫城の唇から血が滴る


関節が軋み続け
肩がねじ上げられ、おかしな方向に歪められている
靱帯が引きちぎられる一歩手前の力を加え続けらていてなお、紫城は黙り続ける


建前上
別の王のクランズマンを裁くには手続きが必要とされている
けれど、実際のところは当事者の胸三寸でどうにでもできてしまう


黄金のクランなら
その性質上、七王の規範であるべきであり
他のどこよりも、確実にそれを、遵守する義務があるはずなのだ


だからこそ
御槌は紫城が非を認めて助けを乞うのを待っている



けれど、何があろうと紫城はそれをしない


十束もそれをわかっているからこそ
同じように口を閉ざし耐えている



肩の1つくらい犠牲にできる
そう覚悟した紫城だったが


突然にその力が抜けた



「…私は、最大にして最強の、黄金の王のクランズマンだ。
後ろ暗いところなどあるはずもない。

このセンターも、“ウサギ”の監査のもと、適切に運営されている」


言い切ったその言葉を聞きながら
紫城は息を吐き出して痛みをやり過ごす

解放された体を起こし左肩を押さえた紫城は
以前怪我をしたのも左だったなと、それとは比にならない痛みを訴える肩に舌を打つ


「君たちが何を思ってそうまで我々に不審を抱いているかは知らないが
疑いをかけられる様ないわれはどこにもない。

…が、赤のクランズマンを処断するとなれば、多少なりとも我が王のお手を煩わせることになる。
このような些事に、それは好ましくない。




去りたまえ」


見下すような瞳でそう告げ
踵を返した御槌だったが


途端、何を思ったのか振り返った
その視線は紫城へ向けられている

プロフェット→←御槌高志



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作者名:鍵宮 | 作成日時:2014年5月22日 15時

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