【K】闇夜の中の少年【男主】 (ページ16)

今日:8 hit、昨日:6 hit、合計:92,840 hit

卒業ページ16

いくつか原作とは違う点が存在します、話の都合上

○

吠舞羅ではテストと呼ばれる
周防の炎を纏った手を握るそれを、正式にはインスタレーションと呼ぶらしい

王様について
その仕組みなどを草薙によく問いかけていた紫城は
あらかた理解を示すと、じゃあと切り出す

「“jungle”っていうのも、どこかの王様ですか？」

「多分な。
まだ詳しい事は把握出来とらんから、なんとも言えんけど」

「ランカー制度っていうの？
確か、一定のポイントを貯めることでランクが上がっていって上位ランカーになれば王様と会えるんだとか」

やはりやめておいて正解だったな、と紫城はjungleについての理解を深めながら内心頷いた

「そういえば、Aは卒業どうするの？
八田と伏見は春休みにテスト受けるので卒業なるみたいだけど」

「うーん、教師にはいい顔されないだろうし、どうすんだろ。
でも同じかな、今度ちゃんと行ってみる」

「家、厳しそうだったのに素行悪かったんだね？
高校も初めから行かない予定だったんでしょ？」

「テストの点よかったし、結構どうでもいいって思われてたんじゃない。
だいたい、あの人たち俺のことは興味なかったし」

ていうかこの話もういいでしょ、と不機嫌を隠しもせずに十束から目を逸らした紫城が
カウンターに頬杖をつく

伏見も八田も
どちらも火力も高く速度もある、かなりの即戦力だった
2人のコンビネーションも期待でき
紫城の実力は未知数

十束曰く、やや不安定なので落ち着くまでは十束なしの場面では使わないというお達しを頂いた

最近騒がしかったバーの中には
珍しく草薙と十束、周防しかおらず静まり返っている

窓の外へ目を向けた紫城が
その瞳を細めてから、端末に視線を移した

パタパタと雨が窓を叩く

「(卒業、ね…)」

ふと思い出したのは
小さく生意気な、けれど必死な少女だった

目を背けていたものに
目を向けるべき時が来たのかもしれない

紫城はスツールから立ち上がり
傘も持たずに雨の中外へ向かう

「十束」

「はいよ」

それを止めはしなかったが
草薙は十束の名前を呼ぶ

そうすれば
十束も笑って返事をし、傘とタオルを持ってバーを出て行った