【K】闇夜の中の少年【男主】 (ページ15)

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瞳の温度ページ15

時間にして10分弱
紫城と鎌本がバーに戻った頃には

既に“テスト”は終えていた

「あ、2人ともおかえり。
今ちょうど終わったところだよ」

「ほんま、中坊焼かずに済んで良かったわ…」

朗らかに笑う十束と
安堵する草薙

正反対な反応にいつも通りかと納得しつつ
紫城は見覚えのある後ろ姿、その制服に志願者が誰かをすぐに理解した

「八田と伏見じゃん」

「えっ…おまっ、紫城!?」

紫城が声をかければ
八田が驚いた様に振り返り、伏見が不機嫌そうに眉をひそめた

紫城個人としても
きっと2人は来るだろうと思ってはいた

けれど
伏見の姿を捉えた紫城の瞳が一瞬、冷たさを帯びた

「…紫城って呼ばないでよ、美咲ちゃん？」

「名前で呼ぶな！喧嘩売ってんのか！」

「俺が喧嘩で負けるわけないじゃん。
ついでに頭脳も…って、あれ？

2人とも、全く同じ所に徴出たんだ。
そんなことあんだね」

八田をからかいながら近づいた紫城は
2人の襟元から覗く徴が全く同じ場所にあるのに気付いて瞳を丸くさせた

それから周防に視線を向けると
十束と同じことを聞くなと言われ、十束へ視線を向ける

どうやら彼も聞いたらしい

「十束、新人教育はいつも通り任せるで」

「はーい。
じゃあ、Aにも同級生なら付き合ってもらおうかな」

ひとまず、ようこそ吠舞羅へ

ついこの前、聞いたそのセリフを再び聞いて紫城は小さく吹き出した

警戒心が強く
八田以外には冷めているのか、それとも興味が無いのか
不機嫌そうな伏見に紫城は近付いた

八田はコミュニケーション能力も高く
なおかつ鎌本と昔知り合いだったことが判明してすぐに輪に加わってしまったから
伏見としては面白くないのだろう

「伏見」

「…なんだよ」

「お前さ、“jungle”とどこまで関わってんの？」

「は…？」

あえて声を潜め紫城が問いかければ
怪訝そうに睨み返した伏見

しかしそれに動じない紫城は
彼が何も答えないと察してか、切り出す

「お前の技術がすごいのは知ってるけど、あんまり余計なことはしない方がいいんじゃない」

「…ﾁｯ、余計なお世話だよ」

「知ってる」

舌を打ち目を逸らした伏見に
紫城も背を向けてカウンターの中へ入っていく

伏見が視線を逸らすその直前
いや、紫城が背を向けるその直前まで、紫城の瞳は

まるで何かを見定めるかのように

冷たく、無感情だった

伏見にとってそれは怖いというより
酷く、居心地悪かった