21:神田の部屋*2 ページ25
「ユウの部屋…久しぶりだな」
まだAも神田も小さかった頃。
各自、自分の部屋が与えられていたがAは広い部屋に独りぼっちでいるのが怖かった。
また兄と離れ離れにされるのではないか。
また何処かへ連れていかれるのではないか。
恐怖だけが降り積もっていく。
そんな時はいつもこの部屋に来ていた。
神田は幼い妹を暖かく受け入れてくれた。
一緒に寝てほしいというと、まったく、Aは一人じゃなんもできないんだな、と言いながら布団を開けてくれた。
最も何年も昔の事なので記憶は曖昧だが。
薄暗い部屋。
ひび割れた窓ガラス。
元々部屋に付属していたベッド。
ベッドの脇のサイドテーブルの上には蓮の花。
今も昔と同じように美しく咲き誇っている。
他に物はない。
がらんとした部屋。
だが、Aはこの部屋がとても好きだった。
なぜなら、兄の匂いが染みついていてとても落ち着くからだ。
部屋を一通り見回したAは部屋の隅に荷物を置き、重いコートを脱ぎ捨てる。
そして、ベッドへ思い切り飛び込んだ。
ギギギッとベッドが軋んだが、そんな事Aは気にしていなかった。
大の字になって目一杯腕を伸ばす。
とても気持ちがいい。
あぁ…今日は色々なことがあった。
いつもに増して疲れたな…。
だが、なんだか心地よい疲れだ。
Aはもうすぐにでも眠りに落ちそうだった。
さて、明日も早い。
そろそろ寝るとするか。
…あ。忘れるところだった。
毎日欠かさずに言っている言葉。
たった一人の家族に贈る、1日の締めくくりの言葉。
Aは天井を見つめ、軽く息を吐き、
「おやすみ。ユウ『…A?』
Aは声の聞こえた方を向いて言葉を無くした。
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めありぃぃ - 神田ユウ様ァ〜!! (2021年5月25日 0時) (レス) id: 23f9dcf647 (このIDを非表示/違反報告)
神羽(プロフ) - サキさん» はい!ありがとうございます!頑張ります! (2015年8月15日 7時) (レス) id: 3f0333f850 (このIDを非表示/違反報告)
サキ(プロフ) - 神羽さん» よろしくお願いします! これからも頑張ってください! (2015年8月14日 11時) (レス) id: a63b882efb (このIDを非表示/違反報告)
神羽(プロフ) - サキさん» 本当ですか?!!!いや、ほんと、なんて言ったらいいか…嬉しいです←。サキさん本当にありがとうございます!よろしければこれからも仲良くしてやってくださいw (2015年7月29日 23時) (レス) id: 3f0333f850 (このIDを非表示/違反報告)
サキ(プロフ) - 神羽さん» ワタシも読んでます! 面白いです!頑張ってください! (2015年7月29日 20時) (レス) id: a63b882efb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:神羽 | 作成日時:2015年3月24日 0時