呼び方 ページ6
．
『めいちゃんってさあ、私のことなんて呼んでる？』
「え？Aちゃん、かなあ。」
突然そう聞かれると、なんとなく自信がなくなる。
俺、Aちゃんって呼んでたよね、きっと。
『いっかい呼び捨てで呼んでみてよ』
この人、ほんとに突拍子もないこと言い始めるね、
慣れてないよ。
慣れてると思ったでしょ？慣れてないよ。
『なんでよ、
AちゃんはAちゃんでしょ、』
『めいちゃんになんて呼ばれようと、
私は私です』
うん、それはそうだね、確かにそう。
なんとなく納得してしまった俺は、
「…A、ちゃん…」
『なあ、ちゃんつけんとってって』
笑いながらそう言うAちゃんを見て、
ちょっとムカつく。
「A」
俺のことを振り回して、余裕そうに笑ってるAちゃんの表情を崩してみたくて、目を見て希望されたように名前を呼んでみる。
『お〜、慣れへんし変な感じ〜』
くすぐったそうに笑うAちゃんが可愛くて、見つめたまま頭を撫でれば、
『なに、呼び捨てにできたからって調子のらんとって』
って、顔をそむける。
「なあに、照れちゃったの？
Aにしては、珍しいねえ」
『うるさおじさんめ、』
悪態をついてるのに、その場から動こうとしないから、嫌がってないのだろうと、好き勝手に撫でまわす。
『なあ、もうしつこい！』
可愛いねえとひとしきり撫でまわしたら、俺から離れて冷蔵庫を漁りに行った。
気分がころころ変わるAちゃんって、
「もしかして…猫、？」
『Aです』
．
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作者名：わたちちゃんです | 作成日時：2023年10月14日 5時
