病弱な妹と2人の兄が選ぶ道

『楽しそうな探偵社』 ページ29

「！！...そうかい。うん よかった」

お兄ちゃんは心底嬉しそうに私に笑いかけた。

『でも､今日はマフィアに帰る』

「帰るのかい？」

『中也お兄ちゃんに会いたい...
それに姐様や首領に龍くん。最後に仲間として今日を過ごしたい』


「わかった。念の為にマフィアまで送るよ」

『ありがとう』

ベットから降りて端に置いてあった外套をいつもの様に羽織った。

「あっA。外套のポケット漁らして貰ったけど血の付いたナイフをそのまま入れておくのはどうかと思うよ」

『それは...私も思った』

私も同じ様にポケットに手を入れて漁ってみると血の付いたナイフがお兄ちゃんに言われると同時に出てきた。

小さいナイフは全部 自分で買ったので本部に置いて中也お兄ちゃんから貰ったナイフは持っておこう。

「おや。もう終わったのかい」

扉を開けるとそこには探偵社の1部の人達が居た。

「Aちゃん 大丈夫？」

『うん 大丈夫』

心配性ぽいな敦くん...。

でも この敦くんなら鏡花も大切にされてるよね。

「マフィアにもう戻るのかい？」

「聞いて驚き給え！A､今日を最後にマフィアを抜けるのだよ！！」

「それは...本当なのか？」

『本当ですよ。国木田さん』

そう言うと国木田さんは事務所の中に走って行き鏡花と敦くんも嬉しそうにしてくれた。

「私は社長に言ってこようかね」

『お願いします。私は明日に挨拶に向かうと言って頂ければ嬉しいです』

「分かったよ」

そう言って与謝野さんも社長室？があるのかな...その方向に向かっていた。

『暫くは姿を隠さないと駄目かな...』

「そうだね...こう言うのも悪いがAの経歴は私より汚れている。おまけにマフィアの死神とまで付けられちゃあ完全に洗浄するのは難しいかもね」

「えっ？太宰さんよりやんちゃしてたの？」

『敦くんやんちゃって...そんな可愛いレベルじゃないよ』

まだ人を殴るとかならやんちゃのレベルだけど殺人にその他諸々と数えれない殆どやってるからね。


「姉様とお買い物に行きたかった...」

ぼそっと聞こえないよう呟いただろう鏡花の声は私の耳にだけ届いた。

その可愛い言葉に抱き着きたくなる衝動を抑えて鏡花と同じ高さにしゃがんだ。

「姉様？」

『今度､こっそり２人で行こうね』

鏡花だけに聞こえる声で言うと鏡花はまた嬉しそうに笑顔になった。


もし探偵社に入れたら鏡花の方が先輩なのか...

1人でそんな事を思った。

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