病弱な妹と2人の兄が選ぶ道

｢妹と兄の友人｣ ページ3

『えっ...？』

背後から聞こえてきた声。

私は咄嗟に距離を取り外套に入っていたナイフを取り出した。

「反応が良いのは変わってないんだな」

『貴方は...織田作さん？』

昔に1度だけ見た姿。

織田作さんは4年前のミミック戦で亡くなったんじゃ...。

「そうだ。織田作之助だ」

『...霊体ですか』

普通の人とは違う透けた体に私は何故 織田作さんが
ここに立てているのか理解出来た。

異能で何でも出来るこの世では驚く事も無い。

「理解が早いな」

『異能体ですか？』

「違う。墓参りに来てくれた太宰兄妹の事が気になっていたら何故かこうなった」

ごめんなさい。分かりません。


『お兄ちゃんには会いましたか？』

...もっと別の事を聞こうと思っていたが口から出ていたのはこの言葉だった。

「太宰に会うかは悩んでいる」

『会ってあげて下さい。私に会うなら』

「いや。太宰の妹とも話してみたいのでその後だ」

私と話す事があるのかな？

でも...私もお兄ちゃんを変えてくれた貴方と話をしたいです。

『なら...お話しましょう。私も話してみたいです』

「ならこっちに来い」

織田作さんに言われるがまま後ろをついて行き誰も居なくて紫陽花が沢山咲いているところに来た。

ここにこんな場所もあったんだ...


『わっ！！』

下を全く見てなくて水やりをしたのか泥がぐしゃぐしゃになっている所で滑った。

「本当に太宰と似てるな...太宰も同じ所で滑ってたぞ」

お兄ちゃんが？...そんな事 あったんだ。

『織田作さんと居ると私の知らないお兄ちゃんが
知れますね』

「子供っぽさも残していたからなあの頃は」

『私の前では立派な大人に見えましたがね』

それはお兄ちゃんが私の親代わりでもあったからだと思うけど...

「太宰は...今、どんな感じだ？」

『探偵社に行ってとても楽しそうです。マフィアにいた頃よりもとても...
それに昔より明るい笑顔を浮かべてくれる』

「それは良かった」

『お兄ちゃんに今の道を進めてくれたのは織田作さん...貴方ですよね。

本当にありがとうございます』

...私はずっと織田作さん本人と会ってこれを
言いたかった

お兄ちゃんの妹として家族として。

「...お前は今、何処に所属しているんだ？」

『私はポートマフィアですよ』

「なら...太宰はお前が探偵社に来る事を望んでいるだろうな」

『私は...探偵社に行ったら駄目な人間です』

「それは違うと思うぞ」

その言葉は私が1歩を踏み出す勇気となった。

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