31.ふたりを繋ぐもの ページ31
.
花「紫耀坊ちゃんがお友達を連れてくるなんて
初めてですねぇ。」
無くなりそうなくらい細めた目で
私に笑いかけるハナエさん。
紫「学校の後輩やねん。
可愛いやろ？」
何の躊躇いもなくそんなことを言うから
私は思わず、ハナエさんが淹れてくれた紅茶に
むせそうになる。
花「本当にねぇ。
ゆっくりしていって下さいね。」
そう言って花江さんは
紫耀の部屋を後にした。
貴「もう、変なこと言わないでよ。」
軽く紫耀を睨むと
紫耀は、ふっと目を細めた。
紫「花江さんな、Aと同い年の孫がおんねん。
よく、その子の話するから
Aを連れてきたら喜ぶと思って。」
え、そういう意味？
やだ、私、超自意識過剰だ。
赤くなった頬を押さえる私を見て
紫耀は、急に真剣な顔つきになった。
紫「A、何があったの？」
………紫耀には
いつもいつも
泣き顔ばかり見られている気がする。
だけど、昨日のことは
口が裂けても、紫耀には言えないと思った。
貴「………何も、無いよ。」
紫耀の視線が、ふと、私の太ももに注がれる。
なんだろうと思って見てみると
太ももの内側に、血液が流れたような跡が
薄くだけど、はっきりと残っていた。
貴「…………っ」
紫耀に、こんなものを見られた
猛烈な恥ずかしさに
いたたまれなくなって
私は急いで立ち上がった。
ドアノブに手をかけた私の手の上に
紫耀の大きな手が、そっと置かれた。
紫「A。逃げんといて。
俺は絶対
おまえが嫌がるようなことは
せえへんから。」
背中越しに
紫耀の温もりを感じる。
紫耀は、私の手をドアノブから引き剥がすと
私を後ろから抱きしめたまま
そっと呟いた。
紫「A…………廉に、されたの？」
涙が、頬を伝っていく。
平気だと、思った。
心さえ、明け渡さなければ。
だけど、あの時。
廉はもう、廉じゃなくて。
私に笑いかけてくれたあの優しい廉は
何処にもいなかった。
ねぇ、私のせいなの？
私が、あなたを傷つけたの？
どうすれば私は
あなたを救えたの？
私の身体を無理矢理奪うことで
あなたは本当に満たされるの？
自分が本当に欲しいのは
そんなものじゃないって
廉、言ってたじゃない。
黙って泣き続ける私に
紫耀はそれ以上
何も聞いてこなかった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3302人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ジャニーズ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
わー - この続編はどつすれば見れますか？ (2017年4月9日 12時) (
レス) id: 90c96905a7 (このIDを非表示/違反報告)
朱々 - パスワード教えてください!! (2017年4月8日 21時) (レス) id: 620869417f (このIDを非表示/違反報告)
かりん - あれ、この作品って5までありませんでしたっけ？？作り直したんですか？？ (2017年4月3日 9時) (レス) id: 7ebf97f1ef (このIDを非表示/違反報告)
砂糖勝利(プロフ) - この小説のパスワードを教えていただきたいです。 (2017年3月31日 13時) (レス) id: 6238d04a05 (このIDを非表示/違反報告)
れんゆき(プロフ) - 更新を毎回楽しみにしています！続きを見たいのでパスワード教えていただきたいです！ (2017年3月21日 0時) (レス) id: b72ed3749d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：サラ
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/my.php
作成日時：2015年7月22日 12時
