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27.覚悟 ページ27

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貴「勇太…………。」


ボロボロに傷つけられて
保健室のベッドに横たわる勇太を
私は、なんとも言えない気持ちで見つめていた。


どうして、こんなことになってしまったんだろう。




あの時、廉の手は勇太の血で汚れていて
それに気づいた途端
私は、今まで感じたこともないような
怒りを感じた。


『自分の意思で俺の所に来てくれるように』


あんなことを言っておきながら
こんなことをするなんて。


むしろあれは、こういう意味だったの?


私の大切な人を傷つけて
私が廉を選ばざるを得ないようにするって
意味だったの?




勇「A………。」


ハッとして、勇太を見る。




貴「勇太!気がついた?大丈夫?」


勇「………ここは………?」


カラカラに乾いた声を絞り出す勇太。




貴「保健室。
ねぇ、勇太。一体何があったの?
どうしてこんなことに………。」


勇「………永瀬が………
いつもみたいに、おまえのこと探しに来て。
おまえが平野のとこ行ってるの
勘づいたんだと思う。
周りの奴らに当たり出したから
俺が、止めて……。
“そんなことする奴に
Aと関わってほしくない”って言ったら
この有様。
情けねぇよなぁ………。」


そう言って、勇太が微かに笑った。




貴「嘘………。
少しも、やり返さなかったくせに………。」


勇太の手は、少しも汚れていなかった。


どうして?
どうして抵抗しなかったの?


勇太は、そっと手を伸ばして
涙ぐむ私の頭を撫でた。




勇「喧嘩なんかしたら………
Aが、悲しむかなぁと思って………。」


そう言って、優しい笑顔で微笑む。


勇太………。




貴「勇太………ごめんね………。」


私は、勇太の手を握った。




勇太。私、もう逃げない。
ちゃんと、嫌なことにも向き合うから。


もう、絶対に
あなたを傷つけない。







私はその足で
廉のいる、VIPルームへと向かった。


不思議と
緊張はしなかった。


怒りは確かにあったけど
覚悟を、決めていたから。




貴「廉。いるんでしょう?」


ドアを3回ノックして
扉の向こうの廉に問いかける。


しばらくして
重い扉を開けて、廉が顔を覗かせた。




廉「よう、来たな。」


無表情で、私を見下ろし
中へと促す。


キイ………っという音を立てて
ゆっくりと、扉が閉まった。







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わー - この続編はどつすれば見れますか? (2017年4月9日 12時) (レス) id: 90c96905a7 (このIDを非表示/違反報告)
朱々 - パスワード教えてください!! (2017年4月8日 21時) (レス) id: 620869417f (このIDを非表示/違反報告)
かりん - あれ、この作品って5までありませんでしたっけ??作り直したんですか?? (2017年4月3日 9時) (レス) id: 7ebf97f1ef (このIDを非表示/違反報告)
砂糖勝利(プロフ) - この小説のパスワードを教えていただきたいです。 (2017年3月31日 13時) (レス) id: 6238d04a05 (このIDを非表示/違反報告)
れんゆき(プロフ) - 更新を毎回楽しみにしています!続きを見たいのでパスワード教えていただきたいです! (2017年3月21日 0時) (レス) id: b72ed3749d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:サラ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php  
作成日時:2015年7月22日 12時

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