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25.inner child ページ25

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紫耀は、長い間海外に留学してたから。


キスとか、そんなの
他意なんか無くて
ただの、挨拶みたいなもんなんだ。


うん。きっとそうだ。


あまりに自然に
当然のように唇に触れられて
私は軽く、パニックに陥っていた。


そんな私を見て、紫耀は、クスッと笑った後
まるで何事もなかったかのように
再び本を読み出した。


ほんの一瞬、軽く触れただけだった。
それなのに
胸の鼓動が、急激に早くなるのを感じた。


………廉にされた時とは、違う。


私は、赤く火照った頬を押さえた。






温室を出た後
1人歩いていると
突然後ろから声をかけられた。




顕嵐「…………楽しそうだね。三上さん。」


ぎょっとして振り返ると
顕嵐君が、じっと私を見つめていた。




顕「平野にも手を出すなんて、結構やるよね?
おとなしそうな顔してるくせにさ。」


ゾッとするくらい鋭い眼が
私を捕らえて放さない。




貴「………やめてよ。そんな言い方。
あの人とは、そんなんじゃないから。」


っていうか、“平野にも”って何よ。
私は、そもそも廉の女じゃない。


さすがにカチンときて
私は彼に抗議の目を向けた。




顕「廉を敵に回すのが一体どういうことなのか
まるで分かってない。
しかも、よりによって
平野と関わりを持つなんて。」


………廉にとって
紫耀が疎ましい存在なのは、分かる。


だけど。




貴「私はやっぱり、廉とは………」


顕「言ったよね?
廉からは逃げられないって。」


冷たいというより
何の感情もこもってない無機質な声で
彼は、私の胸を
言葉という矢で射抜く。




貴「………あなた、一体廉の何なの?
どうして、私を廉に差し出そうとするの?」


私の言葉に、彼は
一切表情を崩さずに答える。




顕「廉が、それを望んでるから。」






………ダメだ。
益々、分からない。


私の顔を見て、顕嵐君が言葉を続けた。




顕「廉が、自分から誰かに興味を持つなんて
初めてなんだよ。
いつも、女なら誰でもいいっていう感じだったのに。
………だけど、愛と憎しみは紙一重だよ。
廉が君に好意を持てば持つ程
それが裏切られた時
それは一瞬にして憎しみに変わる。」


貴「そんなの………っ」


私の言葉を遮り、彼は続ける。




顕「廉は、“満たされないままの子ども”だから。」




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わー - この続編はどつすれば見れますか? (2017年4月9日 12時) (レス) id: 90c96905a7 (このIDを非表示/違反報告)
朱々 - パスワード教えてください!! (2017年4月8日 21時) (レス) id: 620869417f (このIDを非表示/違反報告)
かりん - あれ、この作品って5までありませんでしたっけ??作り直したんですか?? (2017年4月3日 9時) (レス) id: 7ebf97f1ef (このIDを非表示/違反報告)
砂糖勝利(プロフ) - この小説のパスワードを教えていただきたいです。 (2017年3月31日 13時) (レス) id: 6238d04a05 (このIDを非表示/違反報告)
れんゆき(プロフ) - 更新を毎回楽しみにしています!続きを見たいのでパスワード教えていただきたいです! (2017年3月21日 0時) (レス) id: b72ed3749d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:サラ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php  
作成日時:2015年7月22日 12時

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