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23.現実からの逃げ道 ページ23

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朝、私が教室に入ると
さっきまで騒がしかった教室が
一気に静まり返る。


好奇、嫉妬、敬遠。


ありとあらゆる、私に向けられた目に
酔ってしまいそうになる。


…………もう、沢山だ。
こんな空気。


私は席に着かず
そのまま引き返し、教室を出た。




勇「………A!」


廊下を歩いていると
勇太が後ろから追いかけてきた。




貴「勇太…………。」


私より少し背の高い勇太の顔を
上目遣いで見つめる。




勇「何処行くんだよ、おまえ………。」


息を切らしながら、勇太が問いかける。




貴「………別に。
なんかもう、帰ろっかなって………。」


目を逸らして、私は呟いた。


なんだかもう、あの教室には帰りたくない。
勉強なら、家でも出来るし………。
紫耀を見ていて、私は強くそう感じていた。




勇「何言ってんの?
授業サボるなんて、おまえらしくないよ。
………永瀬のトコ、行くのか?」


勇太の言葉に
思わず溜め息をつきそうになるのを
私は懸命に堪えた。




貴「…………違う。」


勇「じゃあ、何?
永瀬じゃないなら、平野のトコ?」


私は、勇太の顔を見た。




貴「………なんで、知ってるの?」


勇「永瀬と関わっただけで
周りがおまえをここまで避けたりはしない。
………おまえ、平野の温室にも
出入りしてるんだろ?」




………気分が、悪くなった。


何に対してなんだろう。


私の行動が、学院中に知れ渡ってること?
それとも、勇太にこうして詰問されてること?


どちらにせよ、気分良いわけないよ。




貴「私が何しようと、勇太には関係ない。」


言ってしまってから
しまったと思った。



………傷ついた、勇太の顔。


誰よりも私に優しくしてくれた
あなたなのに。


罪悪感に、胸が潰されそうになりながら
私はそのまま、走って校舎を出た。









紫「どうした?」


温室の前で立ち尽くす私を
紫耀が、中に引き入れた。




貴「紫耀………なんでいるの?」


紫「なんやねん、それ。」


私の言葉に、紫耀が笑う。


………だって、紫耀はいつも
授業中だろうが放課後だろうが
私がここを訪ねた時は
いつもいてくれるから。




紫「何か、あった?」


紫耀が、優しくそう問いかける。




貴「…………紫耀も、教室が嫌いなの?」






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わー - この続編はどつすれば見れますか? (2017年4月9日 12時) (レス) id: 90c96905a7 (このIDを非表示/違反報告)
朱々 - パスワード教えてください!! (2017年4月8日 21時) (レス) id: 620869417f (このIDを非表示/違反報告)
かりん - あれ、この作品って5までありませんでしたっけ??作り直したんですか?? (2017年4月3日 9時) (レス) id: 7ebf97f1ef (このIDを非表示/違反報告)
砂糖勝利(プロフ) - この小説のパスワードを教えていただきたいです。 (2017年3月31日 13時) (レス) id: 6238d04a05 (このIDを非表示/違反報告)
れんゆき(プロフ) - 更新を毎回楽しみにしています!続きを見たいのでパスワード教えていただきたいです! (2017年3月21日 0時) (レス) id: b72ed3749d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:サラ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php  
作成日時:2015年7月22日 12時

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