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16.向かった場所 ページ16

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あれって、やっぱり
告白だったのかな…………?


廉のあんな真剣な表情、初めて見た。


ふらふらと歩きながら
私は思わず、溜め息をついた。


彼のことは、嫌いじゃない。
だけど…………。




紫「………また、来たん?」


気づけば、私は
あの温室に、足を運んでいた。




貴「………ごめんなさい。
勝手に………。」


入り口付近に立ち尽くしていた私に気づいた彼が
中からこちらを見つめている。




紫「別に、ええけど。
好きなだけここにいていいって言ったのは
俺やし。」


彼は、温室の中に置いてあるテーブルで
何やら勉強しているみたいだった。


見たこともないような参考書の山が
テーブルの上だけでなく
その辺りの床を埋め尽くしていた。



貴「………勉強してたんだ。
ごめんね、邪魔して………。」


私が立ち去ろうとすると
彼が、口を開いた。




紫「………なんか、あったんとちゃうの?」


貴「え…………?」


紫「顔に書いてあんで。
“話、聞いてくれ”って。」


私は思わず、顔を押さえた。




紫「分かりやすいな、おまえ。」


そう言った彼の顔は、すごく穏やかだった。




紫「おいで。」


彼はそう言って、私を中に促した。




…………優しい。


こんな風に迎え入れてもらえるなんて
思っていなかったから
私は正直驚いていた。


自分が座っていた椅子の向かいの椅子を引いて
彼は、そこに私を座らせた。




貴「ねぇ、永瀬廉って知ってる?」


その名前を聞いた瞬間
彼の表情が曇った。




紫「あいつに、何かされたん?」


そう言われて、私はびっくりした。


永瀬って、本当にそういうイメージなんだ。




貴「ううん………違うの。
なんか、最近急に優しくなって……。
それで、私………。」


彼は、たどたどしく話す私を
優しい表情で見つめていた。




紫「………告白でもされた?
おまえ、あいつが好きそうなタイプやもんな。」


私は、驚いて彼を見つめた。




貴「それ………他の人にも言われた。
私はただ、廉の傍若無人ぶりが嫌いで。
だから、初めは絶対に仲良くなれないと思ったの。
だけど、本当は廉
何かに苦しんでるみたいで………。」


彼は、私の話を
ただ黙って、じっと聞いていた。


そして、静かに語り始めた。
私の知らない、廉のことを。





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わー - この続編はどつすれば見れますか? (2017年4月9日 12時) (レス) id: 90c96905a7 (このIDを非表示/違反報告)
朱々 - パスワード教えてください!! (2017年4月8日 21時) (レス) id: 620869417f (このIDを非表示/違反報告)
かりん - あれ、この作品って5までありませんでしたっけ??作り直したんですか?? (2017年4月3日 9時) (レス) id: 7ebf97f1ef (このIDを非表示/違反報告)
砂糖勝利(プロフ) - この小説のパスワードを教えていただきたいです。 (2017年3月31日 13時) (レス) id: 6238d04a05 (このIDを非表示/違反報告)
れんゆき(プロフ) - 更新を毎回楽しみにしています!続きを見たいのでパスワード教えていただきたいです! (2017年3月21日 0時) (レス) id: b72ed3749d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:サラ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php  
作成日時:2015年7月22日 12時

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