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13.運命のサイコロ ページ13

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廉「そんな、警戒せんでもええやん。」


彼は、私の顔を見るなり
ケタケタと可笑しそうに笑った。




貴「………昨日、わかったでしょ?
私は、あなたが求めているようなことは出来ない。
他に、誰か違う女の子を探してほしい。」


そう告げた私を
彼は興味深そうに見つめた。




廉「俺に、そこまではっきり物申したのは
おまえが初めてや。
皆、俺の前では本心を隠すのに。」


その言葉に、私は少しドキっとした。
昨日、私は彼に
とても残酷なことを言ったんだ。




貴「………ごめんなさい。
昨日は、頭に血が昇ってて………。」


廉「別に、ええ。ホンマのことやし?
俺自身についてきてる人間なんか、1人もおらん。
俺が学院長の息子っていう肩書きを失くしたら
きっと、誰もいなくなる。
そんなこと、おまえに言われんでも分かってる。」


貴「………じゃあ、どうして………。」


彼は、真剣な顔つきで、私を見た。




廉「………癒しが、必要なんや。」


貴「癒し…………?」


廉「俺らに、気の休まる時なんか無い。
常に何かに追われてるって、言ったやろ?
そのまま普通に生きてたら
息が詰まって死んでしまう。
やから、俺らは常に
自分を癒してくれる何かを探してる。」


私は、彼の言っている意味を考えていた。
だから、取っ替え引っ替え、女の子を………?




廉「俺がホンマに欲しいのは
おまえの身体やない。
………おまえの、心や。」


私は思わず、彼の顔を見つめた。


生まれて初めて、男の人に
そんなことを言われたから。


“すべてが揃っていながら、まるで何も無い”


平野君のあの言葉が、甦る。
この人の心の空虚さに
私は初めて、触れた気がした。




貴「………だけど、それは
私の身体を奪うより、きっと難しいよ………?」


私の心は、私でさえ
自由にはならないから。




廉「それでも、ええ。賭けをしようや。」


貴「賭け…………?」


廉「そう。賭け。
おまえは、俺のことを好きにならないって言った。
やから、俺が無理矢理おまえを奪うんやなくて
おまえの意思で、俺の所に来るかどうかの賭け。」


この人は、今まで手に入らなかったものなんて
何も無い人なんだと思っていた。
少なくとも、自分ではそう思っている人なんだと。


………だけど。








貴「………いいよ。」


気づいたら、私はそう口にしていた。





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わー - この続編はどつすれば見れますか? (2017年4月9日 12時) (レス) id: 90c96905a7 (このIDを非表示/違反報告)
朱々 - パスワード教えてください!! (2017年4月8日 21時) (レス) id: 620869417f (このIDを非表示/違反報告)
かりん - あれ、この作品って5までありませんでしたっけ??作り直したんですか?? (2017年4月3日 9時) (レス) id: 7ebf97f1ef (このIDを非表示/違反報告)
砂糖勝利(プロフ) - この小説のパスワードを教えていただきたいです。 (2017年3月31日 13時) (レス) id: 6238d04a05 (このIDを非表示/違反報告)
れんゆき(プロフ) - 更新を毎回楽しみにしています!続きを見たいのでパスワード教えていただきたいです! (2017年3月21日 0時) (レス) id: b72ed3749d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:サラ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php  
作成日時:2015年7月22日 12時

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