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68. ページ35

「今日、気分がよかったからカフェ巡りでもしような〜って思ってたんだけど、新調した靴が合わなかったみたいで…」



「あーなるほど、靴擦れするなら靴擦れしやすい部分…例えば踵とかにワセリンを塗っておくといいぜ。そうすると滑りが良くなって靴擦れも防止できる。」



「わ〜丁寧にありがとう、工藤くんだよね?」



「…俺のこと知ってんのか?」

新一くんは柳原さんを訝しげにうーん、と見つめる。


「えっそんなに認知されてなかった??見たことも無い??」



「見たことは…うーん、」

記憶力のいい新一くんが覚えてないのなら見たことがないのか?
新一くんは未だ唸ったままだ。



「私…一応小学校から一緒なんだけどな…」

とほほ、といった様子で柳原さんも悲しんでいる。
柳原さん、影薄すぎでは?


「私、先日帝丹高校を卒業した柳原紡です。」


「ヤナギハラ……柳原って、あの東都大学いった柳原先輩!!?」


「あ…そっちは知ってるんだ…」


そうですそうです、と柳原さんは諦めたように笑った。
東都大学か、思ったよりも頭いいんだな…


「なんの学部なんですか?」



「文学部です、本が好きなので」

安直な理由ですが、と彼女は付け足した。
本が好きという理由で東都大学に行けるなら、本当に本が好きなんだろうな、と思った。


「へぇ〜!シャーロック・ホームズシリーズも読む…みますか!?」


「あはは、タメ口でいいよ。そうだね…量が多いから全てのシリーズを読めてはいないけど、有名なものなら読んだことがあるよ。面白かったから今度原作も読もうと思ってたんだ」


「まじ…ですか!?読んだのは!?」


「緋色の研究と…ボヘミアの醜聞、四つの署名、あと…まだらの紐だったかな?」


「緋色の研究、やっぱり最初はそこからだよな!そこでホームズとワトソンがー…」


新一くんの目はきらきらとして口から出る言葉は留まることを知らない。


だが、それを聞く柳原さんも興味深そうに聞いていて楽しそうだ。


「そうだ!今度うち来ましょうよ、いっぱいあるから!」


「えっ工藤くんの父って工藤優作だよね…無理無理!恐れ多すぎるって!!」


「大丈夫!!いないから!!」


「それもそれでちょっと残念… 」

ウーーーーーン、と唸る柳原さん。
だが、唸るのを辞めると、一つため息をついた。


「でも、ごめんね工藤くん」



「?なんでですか?」



「私、日本文学専攻なんだ」

そう申し訳なさそうに笑った柳原さんに新一くんは口をあんぐり開けていた。

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今日の遭遇人物

赤井秀一


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茜子(プロフ) - 盛りそば。さん» うわあめっちゃ嬉しいです…!!これからもグッとくるように頑張ります!! (2019年8月7日 17時) (レス) id: 0ba88b4f06 (このIDを非表示/違反報告)
茜子(プロフ) - toratora10さん» 紛らわしいことしてすみません…!!完結ではないです! (2019年8月7日 17時) (レス) id: 0ba88b4f06 (このIDを非表示/違反報告)
盛りそば。 - ア"ッ何かすごく胸の奥に来る…(語彙力) これは良作ぅ… (2019年7月15日 11時) (レス) id: 2b295a992e (このIDを非表示/違反報告)
toratora10(プロフ) - 完結ですか? (2019年7月11日 8時) (レス) id: 666f1a834c (このIDを非表示/違反報告)
茜子(プロフ) - ありすちゃん?さん» 私も何気そのシーン好きです笑読んでくださりありがとうございます! (2019年6月1日 16時) (レス) id: 0ba88b4f06 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:茜子 | 作成日時:2018年4月1日 22時

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