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66. ページ33

翌日、俺はポアロの仕事があったのでバスで向かっていた。

なんで車じゃないかって??なんでだろうね。()




ここからは徒歩なのでバスをおり歩く。
そこまで近くはないが、気分転換にはいいだろう。


米花町は相変わらず人々の喧騒で溢れている。
が、そこに今までのような影はだいぶ少なくなったように感じる。


春の暖かい陽気が気持ちいい。こんなにすっきりとした気持ちで歩いているのは久々だ。


「わっ」



「おっ、と、すみません、大丈夫ですか?」



「こちらこそすみません、」


ぶつかってしまった女性の腕をつかみ、支える。
不注意だったな、申し訳ない。



「すみません、不注意でしたね…」



「私こそすみません…いっ」

もう大丈夫か、と腕を離した瞬間、女性はまた倒れそうになってしまった。


「大丈夫ですかっ」


腰に手を回し、支えれば女性は恥ずかしそうにした。


「ほっほんとうにすみません…!!どうやらヒールが折れてしまったようで…」


「ちょっと見せて貰えますか?」


あっ大丈夫ですよと慌てていたが俺はかがんで靴を見た。
根元から折れてるなぁ…あ、それに


「靴擦れしてますね…」


「あはは…」

様子からしてどうやらバレたくなかった様だ。



「僕、喫茶店で働いてるんですけど、良ければそこで手当しますよ。その様子じゃ歩けないですよね…」


「でも…大丈夫なんですか?」



「大丈夫です、まだ開店まで時間もありますし。良ければ奢りますよ」



「そっそれは申し訳ないです…ですけど、お願いしてもいいですか?」


女性は照れくさそうに言う。
もちろん、と笑って背を向ければ女性はぽかんとした。


「?だって歩けないでしょう?」



「…本当にすみません…」


おずおず、といった形で背中に乗る。
俺も申し訳ない。成人してるかどうかわからないくらいの女性なのに三十路がおんぶ…本当にすみません…

はあ、今年で本当に三十路じゃないか。参ったな。


そんなくだらないことを考えていると、女性は俺に話しかけた。


「すみません、今更なんですけど私、柳原紡といいます。あなたは…?」



「安室透です、よろしくお願いしますね」



そう笑えば、柳原さんも微笑んだ気がした。

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今日の遭遇人物

赤井秀一


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茜子(プロフ) - 盛りそば。さん» うわあめっちゃ嬉しいです…!!これからもグッとくるように頑張ります!! (2019年8月7日 17時) (レス) id: 0ba88b4f06 (このIDを非表示/違反報告)
茜子(プロフ) - toratora10さん» 紛らわしいことしてすみません…!!完結ではないです! (2019年8月7日 17時) (レス) id: 0ba88b4f06 (このIDを非表示/違反報告)
盛りそば。 - ア"ッ何かすごく胸の奥に来る…(語彙力) これは良作ぅ… (2019年7月15日 11時) (レス) id: 2b295a992e (このIDを非表示/違反報告)
toratora10(プロフ) - 完結ですか? (2019年7月11日 8時) (レス) id: 666f1a834c (このIDを非表示/違反報告)
茜子(プロフ) - ありすちゃん?さん» 私も何気そのシーン好きです笑読んでくださりありがとうございます! (2019年6月1日 16時) (レス) id: 0ba88b4f06 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:茜子 | 作成日時:2018年4月1日 22時

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