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65. ページ32

あの後、どう表したらいいのかわからない虚無感を抱えながら俺は自宅へ戻った。



まただ。



一年に一度ある、俺にもよく理解できない虚無感。


稀にない年もあるが、毎年のように感じている、空虚。

何故かどっと疲れている。

まるで体中に染み付いた記憶を全部吸われてしまったかのような疲れ。



ソファに身を沈めて、このまま寝てしまおうか、と思うと金魚がちゃぷん、と跳ねた。



「ソーニャ、」



そうだ、餌をあげなければ。

ハロはもう寝ているがソーニャは起きている。


餌を水場に流せば、ぱくぱくと食べていた。



ソーニャ、全然似合わない名前だな、と思い笑うとソーニャはまたちゃぷんと跳ねた。



「怒ってるのか?」


笑いながら聞いてもソーニャは餌を食べるだけだ。






…あれ、なんでこんな名前付けたんだっけ。


まあいいか。今日はもう何も考えたくない。



俺は何もせずに、布団に寝っ転がった。








翌日、俺は出勤すると早速仕事に取り掛かった。

組織についての書類は限度を知らないかのように山になる。


集中して取り掛かるとだいぶ時間が経ったようだ。

スマホを取りだし時間を見る。



12時24分、か。
と思ったが気になることがあった。



何故ロック画面が真っ白なのだろうか。
白にした覚えはない。


だが、なんだったのかも覚えてない。



「降谷さん、どうかしました?」



「風見…いや、時間を見ていただけだ。」



「…時間を見るなら時計の方が早いのでは?」



「…そうだな」

正論でバッサリ切られ、確かにそうだと思った。


確かにそうなのだ(・・・・・)

時間を見るのにスマホを見る必要は無いしむしろ時計を見た方が早い。



じゃあなぜ俺はスマホを見たのか?


それはきっと、真っ白になってしまったロック画面にあったのだろう。



なにか、見る理由があったのだろう。






「…そんなん分かっても、」





思い出せないんじゃ意味が無いな。



全く合理性のないものを抱えてしまったようだ。



頭を抱えて溜息を吐けば風見がぎょっとした。




(降谷さん…昨日何時間寝ました?)




(6時間…)




((正常だ…))

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赤井秀一


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茜子(プロフ) - 盛りそば。さん» うわあめっちゃ嬉しいです…!!これからもグッとくるように頑張ります!! (2019年8月7日 17時) (レス) id: 0ba88b4f06 (このIDを非表示/違反報告)
茜子(プロフ) - toratora10さん» 紛らわしいことしてすみません…!!完結ではないです! (2019年8月7日 17時) (レス) id: 0ba88b4f06 (このIDを非表示/違反報告)
盛りそば。 - ア"ッ何かすごく胸の奥に来る…(語彙力) これは良作ぅ… (2019年7月15日 11時) (レス) id: 2b295a992e (このIDを非表示/違反報告)
toratora10(プロフ) - 完結ですか? (2019年7月11日 8時) (レス) id: 666f1a834c (このIDを非表示/違反報告)
茜子(プロフ) - ありすちゃん?さん» 私も何気そのシーン好きです笑読んでくださりありがとうございます! (2019年6月1日 16時) (レス) id: 0ba88b4f06 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:茜子 | 作成日時:2018年4月1日 22時

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