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59. ページ25

頬を両手で抑えられると、少女の顔が近づいてきた。


「まっそれはやばっ…」


必死に抵抗しようとするが熱のせいなのか、上手く力が入らなかった。

もうダメだ、と思ったが


「…?」


少女は自分の額を俺の額と重ねただけだった。

俺は思わず凝視する。

サラサラでフワッフワなクリーム色?薄いブロンドの髪。

陶器のように滑らかそうで真っ白な肌はほんのりと桜色に染まっている。

そして絵の具を垂らしたかのようにジュワッと自然に色づいたコーラルはみずみずしい。





『うーん…やっぱり熱で浮かされちゃいました?』



真っ白でくるんと品よく上を向いた睫毛で縁取られた瞳が開くと、まるで蜂蜜を混ぜたようなミルクティーと目が合った。




「…甘そう…」



『へっ?』



俺から顔を離した彼女が顔をぎょっとさせる。



『キッドさん!!!鼻血!!!!鼻血!!!!』



「え?」


うわああとティッシュを俺に投げつける彼女は大層可愛らしく見えた。



『え!?なんか増えてますけど!!』



「…ごべんばばい…」






『熱なのに行ったんですか!?』



「怪盗キッドの名にかけて完璧にやらねぇと興ざめだろ?」



『無理しちゃダメですよ無理しちゃ……』

はあ、とため息をつく彼女。
どうやら心配してくれるらしい。


…でももう行かなければ。



「まだ宝石返せてねぇんだ、今から行ってくる」




『えっまだ下がってないのに…』




「大丈夫」



そういって俺は窓を開ける。





「…また、月の光が一層輝く夜貴方の元を訪れましょう」


最後にはかっこよく決めて。




『…待っていますよ、キッドさん』




「……ああ、A」



未だに、心の違和感は拭えない。



だが、こんなにいい子が俺を待ってくれると言うならそれでもういいだろう。



「さようなら、お元気で」



その言葉を最後に、俺は飛んだ。















何故、なぜ、何故???




何故、彼は思い出したの?





話が違うよ、ねえかみさま。

60.→←58.


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赤井秀一


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茜子(プロフ) - 盛りそば。さん» うわあめっちゃ嬉しいです…!!これからもグッとくるように頑張ります!! (2019年8月7日 17時) (レス) id: 0ba88b4f06 (このIDを非表示/違反報告)
茜子(プロフ) - toratora10さん» 紛らわしいことしてすみません…!!完結ではないです! (2019年8月7日 17時) (レス) id: 0ba88b4f06 (このIDを非表示/違反報告)
盛りそば。 - ア"ッ何かすごく胸の奥に来る…(語彙力) これは良作ぅ… (2019年7月15日 11時) (レス) id: 2b295a992e (このIDを非表示/違反報告)
toratora10(プロフ) - 完結ですか? (2019年7月11日 8時) (レス) id: 666f1a834c (このIDを非表示/違反報告)
茜子(プロフ) - ありすちゃん?さん» 私も何気そのシーン好きです笑読んでくださりありがとうございます! (2019年6月1日 16時) (レス) id: 0ba88b4f06 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:茜子 | 作成日時:2018年4月1日 22時

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