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Aちゃんがぼーっと何かを見つめている。
彼女の目線の先には彼女の浴衣の上も泳いでいる金魚だった。
楽しそうにしていた彼女が途端に楽しくなさそうに見えて声を掛けた。
｢…Aちゃん？どうかしたんですか？｣
『…いや、なんでもないです！さあ花火の場所取りに行きましょうよ！』
俺の手を引いて行こうとする彼女を引き留める。
｢金魚すくい、やりたいんじゃないですか？｣
『うーん、楽しそうだとは思いますけどうちでは買えないので…』
｢大丈夫ですよ、さあやりましょう｣
でも、という彼女の声を無視して金魚すくいのほうにいく。
300円を渡してあみをひとつ貰う。
ほら、と渡せば彼女は渋々受け取った。
彼女は不器用ながらも挑戦していたがやっぱり上手くいかなかったようだ。
『すみません、払ってもらっちゃったのに…』
｢大丈夫、｣
そういって、Aちゃんから網を受け取ると器用に金魚を掬った。
『え、破れてるのに…！』
｢もともと器用なんだ、こういうのは得意なんです｣
そう言って器を彼女に渡せばキラキラとした瞳で金魚を見つめた。
｢お兄ちゃん上手いねぇ！彼女さんにもいいとこ見せれたな！｣
｢いやっ彼女じゃ…｣
ね、と言って彼女を見れば彼女はまだ金魚を見つめていた。
『…あ、なんですか？すいません、聞いてませんでした！』
えへへ、と笑う彼女はいつも通り可愛いと思うのにどこか落ち着かない。
金魚を追う目が、珈琲のように暗かったから。
いつもと同じ調子で笑う彼女は俺に金魚の入った袋を差し出した。
『はい、これありがとうございました！楽しかったです！でも、うちでは買えないので…面倒お願い出来ますか？』
｢はい、大丈夫ですよ｣
『じゃあ私と思って育ててくださいね、うーん、名前は…ソーニャ、とかがいいかな！』
和風な金魚には会わないような外国風の名前。
愛称、か？
どこかで聞いたことがあるような名前の響きに驚きながらも頷いた。
袋の中のソーニャが、ちゃぷんと音を立てた。
(ソーネチカ、)
今日の遭遇人物
赤井秀一
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茜子(プロフ) - 盛りそば。さん» うわあめっちゃ嬉しいです…！！これからもグッとくるように頑張ります！！ (2019年8月7日 17時) (
レス) id: 0ba88b4f06 (このIDを非表示/違反報告)
茜子(プロフ) - toratora10さん» 紛らわしいことしてすみません…！！完結ではないです！ (2019年8月7日 17時) (レス) id: 0ba88b4f06 (このIDを非表示/違反報告)
盛りそば。 - ア"ッ何かすごく胸の奥に来る…(語彙力) これは良作ぅ… (2019年7月15日 11時) (レス) id: 2b295a992e (このIDを非表示/違反報告)
toratora10(プロフ) - 完結ですか？ (2019年7月11日 8時) (レス) id: 666f1a834c (このIDを非表示/違反報告)
茜子(プロフ) - ありすちゃん?さん» 私も何気そのシーン好きです笑読んでくださりありがとうございます！ (2019年6月1日 16時) (レス) id: 0ba88b4f06 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：茜子 | 作成日時：2018年4月1日 22時
