5. ページ5
メーカーズマークのレッドトップを煽る。
20歳の誕生日に貰ったものだった。
初めて飲んだお酒は、すぐに回ってしまって、なんだか熱かった。
『…かわいそう、ですか?』
私が発した言葉に、みんなが動揺するのが画面越しに伝わる。
『わたし、かわいそうですか?』
ほんとに、ふと出た、でもずっと思ってたことだった。
『物心着いた時からかわいそう、って言われてて、ああ、私って可哀想なんだ、としかいつからか思えなくなってしまった。
でも、私はきっと顔立ちが綺麗で、背渡り上手で、出来ないことはだいたいなくて、それでも、かわいそう?』
何言ってんだこいつ、とか、そこまでかわいくない、とかそんなコメントが見えた。
別に、それに悲しくなったりしてなんかない。
ただ、ちょっと不思議だった。
『みんな、無責任だ。
私に、可愛いって言ったのに。すごいって言ったのに。可哀想って言ったのに。
私は、みんなの思う私でいようと思っただけなのに、それを否定するんだ。
わかんないの、本当に分からないの。
生き方も、感情も、みんなの気持ちも。
教えて欲しいだけなのに、みんな隠しちゃって。
みんなみんな、無責任だ、好きって言ったのに、大好きって、ずっと、好きって…』
もう、画面は見ていなかった。
ウイスキーを、もう全部飲んでしまった。
頭はぐわんぐわん。
もう右往左往も分からない。
今思えば、この時の行動は、青年期のちょっとした絶望感というか、そういうものだったのかもしれない。
『…ああ、やっとわかったかも。』
みんなが、なんであんなに死にたいって言うのか。
なんであんなに生き急いでいるのか。
そっか。
『わたし、いましにたいかも。』
なんだか目の端に見えるコメントが早くなった。
携帯も、なんだか震えてる。
明日の連絡かなぁ。
ごめんね、マネージャーさん、明日はお休みします。
私は、川辺に経つと、靴を脱いでそのまま川へ入った。
そして、お酒に染った体を冷ますように水にうちつけた。
『宗瀬間Aも、お別れ』
バイバイ、皆。
今度はもっと身勝手に生きたいなぁ
続く (更新停止中) お気に入り登録で更新通知を受け取ろう
←4.
今日の遭遇人物
鈴木園子
1176人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ランデブー - 面白い展開になってきていつもニヤニヤしながら読んでますwww完結が気になりますが、無理せず更新頑張ってください! (2019年8月8日 13時) (レス) id: bbafcd59f2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:茜子 | 作成日時:2019年8月7日 22時