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「髪、白いね!綺麗〜!!」
「めっちゃ美人さんじゃない!?」
「彼氏は??」
「目めっちゃ綺麗〜やば!」
『…へ、?』
わけも分からず、首を傾げる。
施設長以外の人から話しかけられるのは、とっても久しぶりのことだった。
「ほら〜××さん困っちゃうだろ??なぁ」
こういう時、どう返せばいいのか?
私は、施設長しか知らなかった。
なら、施設長みたいにすればいいじゃん
『ううん、大丈夫だよ』
にっこりと、施設長のように笑えば、皆は固まった。
言葉は思ったよりすんなりとでた。
「…ちょ、想像を絶する麗しさに言葉でなかったわ〜」
「え、まじ友達なろ!!?」
『…もちろん!』
初めて、こんな声を出したかもしれない。
私は今日人との付き合い方を知った。
そして、分かってしまった。
私は存外、“猫被り”が上手いのだと。
・
そこから人生はトントン拍子だった。
話しかけられたことに笑顔で応じて、それにあった対応をする。
頼まれたことはそれなりに対応して、誘われたことにはだいたいのる。
意識してはなかったが、私はどうやら“かわいい”らしい。
思えば、人生で顔についてなにかを思ったことなんてなかった。
それが、人の言う望まれてるってことなのだろう。
“かわいい”人っていうのは有利なようで、何でもかんでも笑ってさえいれば、なんとかなることを知った。
例えこの容姿でちょっと目をつけられたとしても、少し申し訳なさそうにごめんなさい、と言えば大概は許してくれた。
高校に入ったら、周りの人に合わせた。
かわいい、ゆるふわに髪を巻いて。
かわいい、コーラルのリップを塗って。
それなりを、気をつけていればなんら不自由することは無かった。
そうしているうちに、スカウトされた。
アイドルにならないか、と。
周りの女子はキャーキャー騒いでて、やっちゃいなよ!って言うから、なんとなく誘いに乗ってみただけだった。
だけだったのに。
「いやぁ〜今日も大盛況だね〜」
『はいっこれもマネさんのおかげです!ありがとうございます!』
他の子をマネした、the“屈託のない”笑みでお礼を言う。
微塵も思ってないことでも、私は言えるようだった。
アイドルを初めて数ヶ月、私はその数ヶ月に歌を知った。
歌は楽しいもので、慣れれば曲を作ることだって出来た。
最初は事務所もそれを許可していた。
だが。
「やっぱ、Aちゃんには合わないよ〜それじゃ」
今日の遭遇人物
鈴木園子
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ランデブー - 面白い展開になってきていつもニヤニヤしながら読んでますwww完結が気になりますが、無理せず更新頑張ってください! (2019年8月8日 13時) (レス) id: bbafcd59f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:茜子 | 作成日時:2019年8月7日 22時