＿48 華麗なる探偵 ページ48
質問の意味が分からない。顎に手を当てる。
「ずっと不思議に思ってた。
マネージャーの仕事も忙しいのに、何でそこまでして調べてくれるのかなって」
『それは………かねちさんを危険な目に合わせる訳にはいかないからっすよ。それがマネージャーの仕事ってもんです』
「本当にそれだけ？捜査してるとき、すごく楽しそうにしてたっしょ？」
言い終わるや否や、また階段を駆け下る。
転びそうな勢いで、危なっかしい。
1階のエントランスまで来た。
窓の外は薄暗く曇り、雨が降りそうな空模様。
「まぁいいや。あんたが、何を思って俺の事件を調べてくれたのか、最後まで分からなかったけど………それでも、一緒にいる間はそれなりに楽しかったよ、ありがとう」
何を思って？
俺っちは、何を考えて、捜査や捜索をしてた？
危険な目に合わせないためだけじゃない。
もっと確かな【想い】があった。
……まさか、あの人、この感情に気づいて……
「あっ、今日で最後か」
顔を上げると、目の前から声がした。
「バイバイ、大好きだった！」
大好き。
矢が心を射つCG映像が、脳裏を走る。
矢先は、ねじるように心に入りこんできた。
苦しい。
そんなことを知ってか知らずか、曇り空の下を駆けて、どこかへ行ってしまった。
「粋なことするね、あいつ」
今度は後ろから声。
『りん、さん、いたんですか』
「ごめん、どうしても気になって、3階くらいからいた」
外に出るりんさん。
開け放たれた扉の向こうで、振り返った。
「……かねちは、楽しいことがとにかく大好きなんだ。
だから、最終日でも、何の気なしにバイバイって言ったんだと思う。
告白して気まずくなるくらいなら、友達のままでいいって思う、あれと似たようなこと」
あぁ、そうか、そうだ。最終日だ。
こんな感じの最後で良かったんだろうか。
「………さようなら、Aマネージャー。
一ヶ月間、おつかれっした」
相反するように、ゆっくりと歩いて帰っていくりんさん。
自分は、何がしたかったんだろう。
事件は解決したけど、得た物も成し遂げたことも無かったじゃないか。
臨時担当が終わった瞬間に、扉を境にして、別の世界の人間になった感覚がした。
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古谷千紗(プロフ) - 面白かったです (2022年9月10日 10時) (
レス) @page1 id: e508b6bb60 (このIDを非表示/違反報告)
p(プロフ) - おもしろかった〜まさかの結末でした！最後のかねち、可愛くて切ない〜 (2022年9月10日 10時) (レス) @page49 id: f1a393f59c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ええいああ | 作成日時：2020年10月24日 22時
