＿39 独白 ページ39
『失礼ながら、録らせてもらいました』
一時停止し、弁明をする。
『捜査のときに薄々感じてたんすけど、
俺っちが誰か疑うと、うっすら否定してくるんですよ。
犯人に口止めされてんのかなと思って、会話してるところとか録れたらいいな程度に考えて、
かねちさんに録音ピンを仕掛けたんです』
「あぁ、あれ………ただのヘアピンじゃなかったんだ」
再生。
「りんたろーさんは、いつも俺といるから、そう簡単に動けない。
Aたそは……まぁ探偵だし、色々器用だから、人目をかいくぐって犯行に及ぶことはできる、かな」
さっきから言ってるのは何だろう。
これも独り言か？
「……… ……… ………、違う」
しばらくの沈黙の後、ひときわ通る、強い意志を含んだ声がした。
「だって、全員、俺と仲良くしてくれてるじゃん。Aたそも、りんたろーさんも、せいやも草薙もシュペも……
皆の中に、あんなキモい、えげつないことする人間、いるわけない」
液晶を通して伝わる威圧、重苦しさ。
兼近が言ってるとは思えない。
緊張から唾を飲み込む。
「………………あいつらじゃないってことは、
全部俺がやったに決まってんじゃん」
録音はそこで終わっていた。
『どう思いますか、これ』
Aちゃんが、静寂を先に破る。
「信じられない、けど、でもこれ兼近だよね」
『えぇ。あのピンがマイクになってると気づいた人が、かねちさんを脅して無理やり言わせてる説もあり得ますけど、
この声自体は、確実にかねちさんのものです』
自演か？でも、どうしてそんなこと。
『……もしこれが自演だとしたら、相当な構ちょってことになりますねぇ。
自分に気を引かせる、興味を持たせる。自分を見てもらうためなら、手段をいとわない』
見てもらうため。
それだけのために、あいつは、
この高さを跳んでケガして、自分の大切な物を壊したのか………？
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古谷千紗(プロフ) - 面白かったです (2022年9月10日 10時) (
レス) @page1 id: e508b6bb60 (このIDを非表示/違反報告)
p(プロフ) - おもしろかった〜まさかの結末でした！最後のかねち、可愛くて切ない〜 (2022年9月10日 10時) (レス) @page49 id: f1a393f59c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ええいああ | 作成日時：2020年10月24日 22時
