街灯の下で愛を探す (ページ4)

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四灯　天真爛漫ページ4

「ただいま。お出迎えかい？」
「そうよ！母さまの代わりなの！」
「ははは、これはかわいらしい奥さんだ」

そう言って軽々彼女を抱き上げるスティーブンさん。
その彼の肩越しに、くりくりとした碧眼と目が合った。

「ホルス！」

まるでみつけた！とばかりに叫ぶ彼女に、つい笑みがこぼれた。

俺の名前はホルシアート・ドリス。彼女の両親はファーストネームを呼ぶけれど、彼女はそれが呼びにくいので友人が使うホルスという略称がお気に入り。
そして俺にも愛称を呼ぶように言う。

彼女の名前はリーレッタ。オールドローズ家の愛娘。幅広く親しまれる愛称は、レティだ。

「はい、ホルスですよ。おはようございますレティ嬢」
「おはよう！ホルス！」

にこにこと、彼女はいつでもよく笑う。その彼女の耳上で静かにきらめくのは、両親から贈られたバレッタ。
それは彼女のふわりとした金髪に、とてもよく映えていた。

「父さま、ホルスも一緒に帰る？」
「それはいい考えだねレティ。どうですホルシアートさん、朝食でも？」
「いえこの間夕食を頂いたばかりで…」
「もう大分昔ですよ。まだ用意していらっしゃらないのでしたら是非に」
「一緒に食べましょう！」

まっすぐな善意には、弱い。

「梯子を、置いてきます」

○●○●○●○

「ホルスの髪さらさら……！そしてとってもきらきらね！スプーンみたい！」

スプーン……子供らしい例え。
彼女の家は銀食器。彼女なりに褒めてくれているのだろう。

「ふふ、ありがとうございます。レティ嬢の髪も素敵ですよ」
「でしょう？母さまの黄色、父さまのふわふわ！わたしのお気に入りよ」

にっこり微笑む彼女は、俺の左腕の中に収まっている。
梯子を置きに家へ向かおうとした時、俺の監視役と言って彼女は付き添うと言い出たのだ。スティーブンさんも「しっかり頼むよ」なんて言いながら俺に彼女を手渡す始末。

結果右手で梯子、左手で彼女を抱えて歩いている。
しかし推定120㎝程の彼女はまだまだ軽い。梯子の方が重い位だ。これからどんどん大きくなるんだなぁと成長に思いを馳せる。

とそこで、じっと彼女が俺を見つめた。
彼女には珍しくだんまり。

「……どうかしましたか？」
「ホルス、なにかあった？」
「え……なにか、ですか」

何か……。
それがあるとするならば、ヴァイオリンか。

「どうしてです？」
「んー……わかんないけど、いつもと違う！」

彼女は笑顔で言い切る。
けれど、俺には全くわからなかった。