The Shade Japan ～我らの挑戦～ second【イナオリ】【シェイドジャパン】 (ページ43)

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ふたりの後悔、そして（月下院紫月&紺堂日暮）ページ43

図星を突かれたのか、日暮は固まってしまう。紫月はため息を吐きながら、話を続けた。

『…何となく、あの日からほとんど話すことがなくなった。原因なんてそれくらいしかないし。』

紺「………何がわかるって言うんだい？」

平静を装っているが、日暮の声は震えている。紫月はやはりかと、あの時話したことを後悔した。

『…あの時、やっぱり言わなきゃ良かったよ。』

紺「なんでだい…？」

『貴女は大きな勘違いをしている。』

紺「……」

紫月は今まで違うところに向けていた視線をまっすぐ、日暮に向けた。あまりにも真剣な目に、日暮は目をそらすことが出来なかった。

『…貴女は、私が影山に愛された。そう思ってるみたいだけど、違うから。』

紺「えっ？」

『本当に愛されたなら、手放す必要はない。まぁ、実際私はあの時影山の元から誘拐されたんだけどね。…影山は取り戻すような行動を取ってはくれなかった。』

紺「…。」

『私自身も、影山のことが好きなら、今頃「お義父様」とでも呼んでるよ。何で名字で呼ぶか。…それは嫌いだからだよ。』

紺「…そうだったんだ。」

かなりの思い違いをしていたのだろう。日暮は心底ビックリしていた。紫月は目を伏せる。

『…まぁ、羨ましいって訳じゃないけど、貴女の方がよっぽど影山に愛されてたと思うよ。鬼道さんたちのように「作品」として作られた、私と違ってね？』

紺「…ごめんっ。」

『何も、日暮は謝るようなことをしてないよ？私が詳しく言わなかっただけ。』

紺「でもっ…僕はっ＿＿」

『…本当の愛は、違う人からちゃんと貰ったから。』

すると日暮が紫月に抱きついてきた。紫月は驚きのあまり、一歩後ずさってしまう。

紺「本当にごめんっ…僕の勘違いで君を…紫月を傷つけてしまって……」

『傷ついてなんて居ないよ。ちょっと寂しかっただけ。』

紺「それでもっ…僕は紫月にひどいことをっ……」

『はいはい。これじゃあどっちが後輩かわからないよ。日暮ちゃんはいつもの日暮ちゃんでいて。でないと調子狂っちゃうよ。』

紺「っ……ん、そうかい？」

『うん。』

とりあえず誤解の解けた二人はシェイドジャパンへと戻る。いつの間にか、紫月の中で渦巻いていた補食欲求は消え失せていた。