【妖怪学園Y】白兎と宇宙人【霧隠ラント】 (ページ6)

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5　ポチの本名判明。ページ6

玉田マタロウside

YSPクラブのドアがノックされる。いつも物怖じしないメラ先輩でさえも、ノックを聞いた途端顔面蒼白だ。

この中で、ジンペイ君だけが平然としている。

「ど、どうぞ」

ボクがそう言うと、失礼するわ、と女の人の声がしてドアが開いた。

固まっていたメラ先輩が恐る恐る口を動かす。

「い、イナバさん……」

メラ先輩の言葉に、部室内の温度が一気に下がった。

＿＿目の前にいるこの人が、学園ヤクザのトップ……白兎イナバさん。

ボクたちの気持ちを察したのか、イナバさんは優しく温かい声でメラ先輩と話す。

「久しぶりね、メラ君」

「ウッス……学費の件は本当にありがとうございました……」

「いいのよ、別に。ねぇ？ポチ」

ポチ？とボクたちは首をかしげた。

「はいッス！ほら雷堂、気にすんなって！そんなシケた顔、テメーには似合わねぇって！」

山吹色のリーゼントヘアに、紫色のつり目。メラ先輩の肩に手を置き、先輩を慰めている。

どうやら、彼がポチさんみたいだ。

「……るっせぇよ、犬公」

メラ先輩がそう呟いて、静かに笑う。九尾先輩との言い争いとは違って、どこか穏やかだ。

「犬公じゃねぇって、犬守(いぬもり)だっつってんだろ」

覚えろや、とメラ先輩の頭を小突くポチさん。

「あの、お二人は知り合いなんですか？」

フブキさんが尋ねると、ポチさんがそうだ、と答えた。

「俺と雷堂は２年だからな。クラスが違うけど顔見知りだ。

んぁ、そうだ。俺は犬守(いぬもり)セイメイ。よろしくな」

ポチさん＿＿いや、犬守先輩がボクたちに手を伸ばす。ゴツゴツしているけれど、大きくて優しい手だ。

学園ヤクザと聞いて怖い印象しかなかったけれど、案外優しい人たちなのかもしれない。

メラ先輩と犬守先輩を見て、ボクはそう思った。