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降谷さんは何かを噛み締めたような表情で、黙って頭を撫でてくれた。何か言いたいことがあるんだろうけど、それを私が聞くことはできないと察する。
だから私も黙って撫でられ続けた。

降谷さんの撫でる手つきが意外に優しくて、スヤァしてしまいそう。しないけど。

手が離れると、降谷さんは何かを思い出したように「あ、そうだ」と付け加えた



「僕、これから出掛けなくてはならないんですが、一緒に来ます?お昼もまだでしょうから奢りますよ」



車の鍵を持って笑いかけてくれる降谷さん。

…奢るってことは、どこかの飲食店に出掛けるのかな。それに、出掛けなくてはならないってことは、アルバイトしてたり、とか。
警察の人が飲食店でアルバイトなんて、聞いたことないけど。

今、お腹は空いてる。
ついでに言えばお金もない。
彼は奢ってくれると言っている。



『本当にいいんですか?
……奢ってもらう、とか』


「えぇ、もちろん。
君は僕にとって大切な子ですからね」



色々とひっかかることはあるけれど、降谷さんの笑顔を見るとそのひっかかりも薄れる。
何故だか、彼は私に嘘をつかない気がするから。



『……では、ごちそうになります』


「ふふ、はい。ご馳走します」



出た、必殺のイケメンスマイル。

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作者名:-naki- | 作成日時:2018年5月10日 15時

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