9 ページ9
降谷さんは何かを噛み締めたような表情で、黙って頭を撫でてくれた。何か言いたいことがあるんだろうけど、それを私が聞くことはできないと察する。
だから私も黙って撫でられ続けた。
降谷さんの撫でる手つきが意外に優しくて、スヤァしてしまいそう。しないけど。
手が離れると、降谷さんは何かを思い出したように「あ、そうだ」と付け加えた
「僕、これから出掛けなくてはならないんですが、一緒に来ます?お昼もまだでしょうから奢りますよ」
車の鍵を持って笑いかけてくれる降谷さん。
…奢るってことは、どこかの飲食店に出掛けるのかな。それに、出掛けなくてはならないってことは、アルバイトしてたり、とか。
警察の人が飲食店でアルバイトなんて、聞いたことないけど。
今、お腹は空いてる。
ついでに言えばお金もない。
彼は奢ってくれると言っている。
『本当にいいんですか?
……奢ってもらう、とか』
「えぇ、もちろん。
君は僕にとって大切な子ですからね」
色々とひっかかることはあるけれど、降谷さんの笑顔を見るとそのひっかかりも薄れる。
何故だか、彼は私に嘘をつかない気がするから。
『……では、ごちそうになります』
「ふふ、はい。ご馳走します」
出た、必殺のイケメンスマイル。
5223人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:-naki- | 作成日時:2018年5月10日 15時