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とにもかくにも降谷さんと同居を始めるにあたって、2人で約束事を決めた。
最低限、これだけは守ろうというものである。
その1、お互いに遠慮せず家族だと思って接する。
その2、相手の嫌がることはしない。
その3、恋人が出来たらすぐに報告する。
その4、無理しない
2人で決めたとか言ってますが、その1から3は降谷さんが決めました。その4は申し訳程度に私が決めたものです。
降谷さんは徹夜が多いようだから、意外といい約束だったりする。
「では、これを約束事として守っていきましょうね」
いつの間にかホワイトボードまで用意して今の約束を書き出す降谷さんは、気のせいかもしれないけど少し楽しそうに見えた。
私はそんな彼を見ながら、淹れて頂いた紅茶を一口。ガムシロップをひとつ使っただけあってちょっと甘め。
『……なんか、その4だけ浮いてますよね』
「そんなことありませんよ。些細なことだろうと約束は約束ですから」
「文字には出してませんが、貴方との個人的な約束も大切です」と、つけ足した降谷さんの言葉に嘘はない。
とても有り難いことなのだけれど、一方的に守られてばかりというのは何となく癪だ。
私はティーカップを置いて、丁度書き終えた降谷さんを見つめる。彼はすぐに気付いてくれた。
『私もできる限り降谷さんを守ります』
「……僕を?」
『はい。
……だって貴方は、命の恩人ですから』
自業自得で怪我をした私を心配してくれて、家や温かい食事までくださり、これで感謝しない奴が何処にいるというのだ。
せめてもの気持ちとして私は彼を守れたら思う。
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作者名:-naki- | 作成日時:2018年5月10日 15時