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朝。鳴り響く目覚ましの音に目を覚ませば、部屋の外のキッチンからご飯の匂いとそれを作る音が聞こえてくる。
寝巻きにカーディガンを羽織り、降谷さんから買っていただいた水色のスリッパに足を入れて部屋を出れば、朝のニュースを見ながら料理をしている降谷さんの背中が見えた。
「あぁ、おはようA」
『……おはようございます、降谷さん』
「ふふ、今日も少し眠そうだな」
そう言って軽く私の頭を撫でる降谷さん。
この程度のスキンシップなら何十回と経験しているので、彼がイケメンであること以外の耐性は付いている。イケメンと言うのは、それだけで罪だ。
「今日のシフトは?」
そう言いながら降谷さんの手が離れた所を!自分でも触ってみると、ぴょこっと寝癖がたっていた。
うわ、恥ずかしい。
今度から朝起きたら鏡見るようにします。
『午前が梓さん、午後が店長とです』
「わかった。じゃあそれまでには支度を終えよう。僕も別の仕事があるから、その前にポアロまで送りますよ」
『え、でもひとりで行けます。お仕事を優先してください』
「A」
有無を言わさない降谷さんの声に、無意識のうちに肩が揺れた。基本的に優しくてスマートな彼でも、こんな風になる事が多々あった。
だからと言って嫌いになったりはしないのだが、これが世に言うギャップだろうかといつも考える。
『……はい、ではお願い、します』
「お願いされました」
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作者名:-naki- | 作成日時:2018年5月10日 15時