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『(っていうか、降谷さんの恋愛ってどうなんだろう)』




泡まみれの髪を温いシャワーで洗い流している時に、私は思った。

彼の顔や性格に惚れない女性は数少ないだろうに、彼本人から浮ついた話は一切聞かない。

同じバイト先の梓さんでさえも「どうなってるんだろうね」と興味津々にしていた。どうなってるんでしょうね、とその時はそんなに気にしなかったけれど確かに謎すぎる。


一緒に住んでいても誰かと連絡を取ってるところはあまり見ないし、夜遅く帰ってくることも無い。
女性の香水の匂いもしなければ、急用で出かけたりもそんなにしない。



そこまで考えた時に、あれ、と思考を止める。




『(……もしかして、)』




連絡を取らないのも、
夜遅く帰れないのも、
香水の匂いを付けてこないのも、
急用で出掛けないのも。




『(私に気を遣っていらっしゃる…?)』




未成年でちんちくりんで恋愛というものをあまり理解していない私が居るから、彼は大人しくしているのだろうか。
もし、もしそうだとしたら、私が彼の好きな人から彼を離してしまっているのでは?


……いやそれは駄目だ。
いつ命に危機が降りかかるか分からない職業で、誰かに深く恨まれていても仕方ないと苦笑い出来るような彼から、大切な人を遠ざけてしまっているなら私は居ない方が良い。




とりあえず私はゆっくり出来る時間が出来たら聞こうってことで気持ちを落ち着かせて、薔薇の匂いに包まれた湯船に体を沈めた。

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作者名:-naki- | 作成日時:2018年5月10日 15時

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