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美味しそうにかどうかは分からないが、とりあえず自分に出来る精一杯を発揮してオムライスを頬張り終えた。

ふぅ、とお茶を飲んで一息つき、ふと降谷さんの方を見る。
食べるのに夢中で気づけなかったが、彼はいつの間にか食べ終わっていて、頬杖をついてこちらを観察していた。


その視線に、無意識に背筋が伸び、コップを持つ手に力が入る。

降谷さんはそれを察したのか「あぁ、ごめん」と体勢を直した。



「本当に美味しそうに食べてくれたから、つい見入ってしまいました」

『……すごく美味しかったので』

「ふふ、ありがとう」



降谷さんは仏様もびっくりするんじゃないかって位の優しい笑みを浮かべ、私の頬に手を伸ばしてきたかと思えば、口の端についていたであろう米粒を手に取った。

そしてあろうことか、それを食べたのだ。



『ふ、降谷さん、』

「なんですか?」

『今のは、えっと、ダメだと思います』

「何故?」

『えっ、……世間体的に?』



というのは嘘で。

今のは、申し訳なさとトキメキがごちゃ混ぜになって、何を喋りたいのか語彙力を低下させてしまい挙句に出た言葉。


世間様が見ているような所で彼はこんな事をする訳が無いし、した際には、周りの女性が私に嫉妬の念を送るだろう。



「A」

『……なんですか?』

「いつまでもそんな感じでは、将来男性とお付き合い出来ませんよ」

『………するつもりないんで大丈夫です』



ほんと、なんなんだこの人は。

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作者名:-naki- | 作成日時:2018年5月10日 15時

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