勘違いされたらきりがない。【名探偵コナン】 (ページ29)

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降谷零から安室透に中身だけ変化した彼は、玄関先で「誰かが来ても鍵は開けるな」や「昼食は冷蔵庫の中に」等、色々なことを言ってからアルバイトへと向かった。

扉が完全に閉まるまで彼を見送ってから、しっかりと内側から鍵をかける。よし、これで大丈夫。

ふぅ、と息をついてからリビングへ戻り静かな空気を肌に感じて、そういえば一人でこの家に居るのは初めてだ、とテレビ前のソファに腰を下ろした。

家具もそれほど多くなく整理整頓された家の中は、一人で過ごすには広く感じる。

降谷さんは長いこと此処に一人だったと考えると寂しくなかったんだろうかと思った。
成人済みの男性に寂しいなんて言葉は似合わないのは分かっているが、それほどにこの家は広い。

＿＿独りは、怖いよね。

突然私に似た誰かの声が聞こえ、脳裏に少女の姿が浮かぶ。顔にモヤがかかってどんな表情をしているか分からないが、私と似ていた。

とても、似ていた。

だがそれも数秒の事で少女はどこかへ消え去ってしまい、頭の中には空白が出来る。

……え、なに今の。まじで何？
まさか本来の“私”が突然現れ、私が乗り移る前の記憶とかが蘇りそれによって色んなことがトラウマになるとかそういう展開？？

やめてくれそんなの望んでない(切実)。
まじでヒロインみたいな感じになるの受け付けない。

数秒だけ色んな事をかけ巡らせて、冷静になる。

『……とりあえず掃除でもしよ』