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沖矢(赤井).side
公園で少女を見かけた時、顔見知りでもないのにとても焦った。
自分より幾分も幼い顔立ちに、所々目立つ包帯やガーゼ。ベンチに座り込んで手を擦り合わせながら顔を歪める姿。
そこで咄嗟に「もしかして」と思い浮かんだのが虐 待というやつなのだが。
逃げ出してきたにしては真新しい綺麗な服と、清潔に手入れされた髪でその可能性は低いと判断した。
なら、どうして彼女は此処に居るのだろうか。
彼女くらいの年頃の子供は皆学校に通っているはずの時間だと言うのに。
「(……どうにも変だな)」
素はFBIだからとか、そう言うのを無しに純粋な心配で彼女に声をかけると、彼女は吃驚したように顔を上げて小さな声で『大丈夫』と答えた。
『荷物が、重かっただけなので……』
「…あぁ、それで」
少女の事しか見えていなくて、視野に入っていなかった荷物を今になって見つめる。大袋にパンパンに入った食材は贔屓目無しにかなりの量があった。
しかも袋に書いてあるスーパーの店名は、此処から少し遠くにある所。
……歩いてきたと換算すると、かなりの距離があるように見える。
彼女の隣に佇む袋をもう一度見てから、俺はその袋を抱えた。彼女はこの行動にまたも驚いて、慌てて立ち上がる
『え、あの、何を』
「荷物、僕が持ちますよ。お嬢さんには重いでしょう?」
『そ……そんな、大丈夫です。歩けばすぐなので。それに、申し訳ないですから』
「申し訳ないなんて、子供が考えることじゃない。子供は大人に甘えなさい」
ね?と言い聞かせるように彼女を諭せば、暫く考え込んでから『……すみません、お願いします』と深々頭を下げてきた。
出会ったばかりの少女の健気な姿が可愛らしく見えてくるのは、流石に犯罪気味ているだろうか。
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作者名:-naki- | 作成日時:2018年5月10日 15時