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当の本人である私はアルバイトを了承した。が、その保護者である安室さんからは良い返事が聞かされていない。お願いします、という願いを込めた目で見ても、彼は首を縦に振らない。
「安室さん、Aちゃんのこと心配なんですね」
苦笑いをする梓さん。
安室さんは間髪入れずに「勿論」と答えた。
だがここで一枚上手だったのが、苦笑いの主梓さんである。
「30分くらいは前後しちゃいますけど、安室さんとAちゃんのシフト合わせられますよ」
『……そんなこと出来るんですか?』
「うん!うちのお客さんのほとんど安室さん目当てで…居ない時はそんなに忙しくないの」
なるほど。言われてみればそうかもしれない。
今日のお客さんの中にも安室さんに熱い視線を送っていた方が何人か居た気がする。送っていなかったとしても、安室さんのファンがその人達だけとは限らないし。
忙しさの元凶、安室さんを横目に見た。
彼は顎に手を当ててまだ悩んでいる。
……こんなに梓さんに好条件を出して貰ったんだ。ここは折れてもらいますよ、"降谷さん"。
私は彼の服の裾をちょいちょいと引っ張り、見つめた。
『……安室さんは、私と一緒なの嫌ですか。』
「そんなわけ無いじゃないですか」
『(即答かよ。)
……じゃあバイトさせてください。
お手伝い、したいんです』
そう言うと、安室さんはぐっと言葉に詰まった後、ため息をついてしょうがないなと言いたげな笑みを浮かべる。
「ここまで言われたら、断れないな。」
「ってことは安室さん…」
「はい。バイトを許可します」
私はほっと胸を撫で下ろした。
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作者名:-naki- | 作成日時:2018年5月10日 15時