人生とは甘美である。4 Jun.M (ページ41)

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ある日のこと。
飯島さんが私に付き合って色々教えてくれて、また帰りは夜遅くなった。

潤はいつも風見さんに私の迎えを必ず依頼する。
夜1人で帰らせるのは危険だし、潤も潤で会食などでアルコールを口にすることもあるから自分はタクシーで帰ると言い張り、風見さんはほぼ私の帰宅に毎日付きっきりとなっていた。
今日も風見さんに車に乗せてもらい家まで送ってもらった。

すっかり夜が老け込んでいた。
だからこんな時間にマンションから人が出てくるなんておかしいと思った。
その人を見た瞬間私は足が止まった。

紫さんだったから。
表情まではよく見えなかった。
彼女は着ていた白いシャツワンピースの胸元を隠しながら足早にマンションから出て行った。
どういうことだろう。
なんで紫さんが。

行くとしたら潤の家しかない。
いや他の可能性もあるかもしれないと考えたけれど、
この期に及んでそれはないと思った、残念なことに。
彼女がここから出て行って呆然としていたけど、早く家に帰って確かめないとと思い足を踏み出した。

何を？
確認なんてできる？
怖い。
恐怖で震え出してきた。
好きな男が過ちを犯しているかもしれないことを、確認？
そんな事したくない。
逃げ出したい。

それでも私は家のドアをそっと開けた。
何も物音はしない。

廊下を渡りリビングへ向かうと潤はソファで誰かと電話していた。
私に気づき、「おかえり」って口パクで言ったから私も、ただいまと何事もなく返事した。
たぶん普通だったはず…