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それはあの後も激しい快楽が私を谷底へ引き摺り込んだから。
気持ちよさのあまりに涙が勝手に流れ、更に体を欲望で疼かせていた。
身支度を整えリビングに行っても潤はまだ帰ってこなくてどこに行ってしまったのか段々と不安になってきた。
コーヒーでも飲んで心を落ち着けようとすると玄関のドアが開く音が聞こえ、スポーツウェア姿で汗だくの潤が帰ってきた。
こちらに気づくことなく一目散に寝室へ向かった。
「A？」
私が寝室にいないことに気づくと今度はバスルームの方に向かった。
その間ずっと私の名前を呼んで探している。
「潤？」
「…A！」
私に気づくなり急いでこちらに走ってきて勢いよく私を抱きしめた。
まるであの夜。
夜中水を飲みに来てソファで寝てしまったあの時みたいにひどく焦っている。
「悪い。昨日はやりすぎた…」
…体が震えていた。
「…っ、ううん。大丈夫だよ…」
「悪かった…」
そう謝る潤はひどく怯えていて。
何が彼をここまで怖がらせるんだろうか。
彼は一体どれほどの闇を抱えているんだろうか。
私は彼に何をしてしまったの？
私の存在がここまで潤を怯えさせているの？
…大丈夫だよ、と言うしかできなかった。
私はできれば目覚めた時隣に潤がいてほしかった。
たとえ怒っていても。
そしてそのままきちんと謝って、昨日の行為はとても魅力的だったと伝えたかったし、そうするつもりだった。
なのに何一つ伝えられなかった…
翌日この少し湿った気持ちを変えたくて外でランチしようと誘った。
健康に気を使う潤のオススメのカフェに行き久々にゆったりとした時間を過ごした。
私も正式な社員になり、飯島さんについて新しい仕事に取り掛かり始めていて、気持ち的に休まることはないし、潤もこの間のビッグプロジェクトが無事着地したことでウチの会社はまた急激な成長を遂げたため更に忙しさが増す。
潤とたわいない話をしていたら急に誰かが潤の名前を呼んだ。
「潤…くんかしら？」
「…紫さん」
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作者名：Clara
| 作者ホームページ：https://www.instagram.com/st.clara.6/?hl=ja
作成日時：2021年6月12日 19時
