人生とは甘美である。4 Jun.M (ページ12)

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私を包む潤の腕の中が安心する。
いつしかこの場所が私にとってかけがえのない場所になっていた。

潤の腕に手を重ねてその感触を確かめる。
すると潤は唇でうなじにそっとキスを落とし、
優しくカプっと噛んだ。

「んっ…痛」

「俺しか知らないんだよな」

「ん、…そうだよ。潤しか知らない」

「…俺のもの」

「…独占欲？」

「気づいてなかった？」

「どうなんだろ…」

「気付いていない場合に備えて忠告しておいてやる。
俺は自分のものに対しては極めて、独占欲が強いんだよ」

そう呟くと腕に更に力を込め強く強く抱きしめられる。

「A……愛してる」

私の顔を振り向かせると、キスが降り注いできた。

私はまた声を漏らしながら乱れる。

潤が言ったその愛の言葉はこの上なく私を幸せにしていくのは確か。それは本当に。

これが恋以上のものなのか、愛なのかなんて経験をしたことのない私が理解できるわけなんてない。
だから。

私も愛してる。そう言いたくてたまらなくなったのに、堪えた。
それを言ってしまったら、もう後戻りなんてできない。まだ早すぎる。

わたしは自分の心を剥き出しにして危険に晒しているのかもしれない、なんて思いながら。
よく切れる刃物の上を裸で歩いているようなものだと。

朝起きると潤が私を羽交締めにしてて、さすがに笑った。

「ふふっ」たまらず声が漏れた。

「…ん？今何時？」

「6時半」

シーツの上でキスを交わしながら、素肌のまま戯れ合う。

「んっ、潤、…っ、もう、用意しなきゃ」

「まだ大丈夫」

「っ、だめっ…ん」

HEADのプロジェクトはマーケティングを終え、次の行程へとバトン渡しした。

仕事が楽しくて生き生きしていたのもあるんだろうけど、
飯島さんから突然「最近雰囲気変わったよね？」
と声をかけられた。