人生とは甘美である。3 Jun.M (ページ38)

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…私達はきっと潤に初めて会った日を忘れないと思う。
引き取られると分かったら少し乱暴な言葉遣いや雰囲気になってしまってね。
でも目の奥では恐怖とそれから少しホッとしていたような表情だったの。

それからは実は割と大変で(苦笑)
思春期真っ盛りだし、いきなり知らない人が親だって言われても…ねぇ？
本当に大変だった…
でもそうするしか自己表現ができないのも分かっていたし、私達は笑って許すしか方法が見つからなかった。

だけど潤を引き取ってから一度も後悔なんてしたことないの。
どれだけ迷惑をかけられても、潤が幸せになる方法を探すことが私達にとって1番重要だった。
潤にはたくさん幸せになってほしかったの。
馮もね、引き取ったんだけど、彼の場合は幼かったしそれ以前の記憶も殆ど持っていなかったから。
だからこそ、馮にも、そして辛い思いをした潤にもたくさん愛情を持って伝えていきたいって思って育ててきたわ。
馮もね、お相手の方とも凄く上手くいっているらしくって、この間テレビ電話で紹介してもらったの。
もし2人がこのまま上手くいって結婚となったらAさんも結婚式には絶対来てね。」

「はい、ぜひ。」

私達がそんな話をしていると、急に馮さんが、

「兄貴ー！真也帰って来てるってよ」

「マジ？」

「ちょっと顔見に行かね？」

「あー…」
と潤が気まずそうな顔で私の方を見た。