人生とは甘美である。3 Jun.M (ページ20)

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俺と彼女は3日間監禁されていて。
彼女も助かったけど俺の姿を見ることなく病院から去った。
俺を残して。
それから退院して明凰園に引き取られたんだ。

当時親父が、今の父親があの施設の職員と知り合いでね、その人の元に訪れた時にたまたま俺を見つけてくれたんだ。
母も昔病気をしていて、その、…子供ができなくて。
俺には弟がいるんだけど、弟もあの施設で出会ってさ。

本当に感謝してる…。
2人はめちゃくちゃ俺に優しくて。
…俺が何やってもやらかしても怒らせようとしても、笑ってただただ許してくれた。
迷惑をかけて困らせてたばっかりだった。
…まぁ……今は4人とも仲良くしてるし、俺も弟も家を出てるけどしょっちゅう集まってるよ。」

初めて聞く彼の過去に私は苦しくて喉元まで涙が溢れていた。

「…前に話してた俺の過去っていうのはこの事？」

そう問うと、潤は「いや…」と言葉を濁した。

まだ他にも何かがある、と悟った。

これ以上にまだある闇が私を不安へと導かれそうになる。

　
彼に突然訪れた不幸を思うと胸が張り裂けていくように痛かった。

息ができなくなりそうだった。

「…ありがとう、話してくれて。」

私は潤を子供をあやすようにそっと抱きしめた。

潤の体は少し震えていた。

きっと誰も、彼の孤独を気づいてあげられなかったのだろう。

ずっとずっと苦しさに耐えていたのだろう。

もっと早く彼に、潤に出会って助けてあげたかった。