人生とは甘美である。3 Jun.M (ページ19)

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酒飲んで暴れて。
そんなに酒って美味いのか、気を狂わせくらいって思ったりして。

…そんな時聞いたんだよ。
俺がいなくなれば、ちゃんとアイツは働いて、お前を、彼女を幸せにするって。
俺がそこにいるなんて知りもせずに。
それからアイツらは…下品な声を出しながら…
父親が愛した女のそんな姿を見てから俺は気が狂いそうだった。

次の日俺が帰ってきたとき、後ろから殴られて。
目が覚めたらロープで体を縛られて身動きが取れなかった。

そこから何が起きたのかは…
忘れたいのに忘れられない。
何も食べさせてもらえず、飲み物すらも貰えなくて、アイツらが2人を殺そうとしたんだとわかった時には絶望で目の前が真っ暗になった。

…ただアイツはそうじゃなかった。
俺の目の前で彼女を殴り続けて…
止めたくても縛られて制圧されて動けなくて。
やめろって叫んでも俺を見て笑いながら彼女を殴り、俺を殴った。

声を出しても届かない、響かない、怖さと。
叫ぶしかできなかった。
無力だった。
それが何よりも悔しかった。

……俺が意識が覚めたのは病院だった。
体重がかなり落ちていたらしくてしばらくは大変だった。
何か食べようにも吐いて体が受け付けなかった。
警察が言うには、当時から暴力の疑いがご近所内で噂になっていてあの音を聞いて誰かが通報したらしい。
そして彼女が殴られてるときに警察はアイツを現行犯逮捕できた。