人生とは甘美である。3 Jun.M (ページ17)

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夜景がキラキラと見える車内で、

「いきなり驚かせて悪かったな」と潤が言った。

「ううん、びっくりはしたけど…。
潤にあんな一面があったなんて知らなかった」

「行けて月に一回、忙しくても２ヶ月に一回は行くようにしてる。」

「そうなんだね。
皆良い子たちだったなぁ…。」

その時になぜあの施設に行くのか聞こうかと思ったけど、車内で、それも運転をしてもらいながら片手間に聞く話じゃないと思った。

「……また連れてってくれる？」

「来てくれんの？」

「うん、また行きたい」

そう言うと潤は嬉しそうに微笑んだ。

家に着いて、お風呂に入った後。

「ちょっと飲まない？」

2つのワイングラスと白ワインをソファに持ってきた。

窓一面に広がる夜景を見ながら、大きなソファで潤と体を寄せ合いながら座ってワインを口にすると、
今日の疲れが一気に溶けていくような感覚がした。

「あそこは…明凰園は俺が育った施設なんだ。」

「…え？」

言葉が理解できなかった。

思わず目がパチパチする。

潤が施設で育った、ということを瞬時に理解できなかったのだ。

「…俺は今の両親にあそこで見つけてもらって引き取られた」
　

そこからゆっくりと心苦しそうに言葉を詰まらせながら潤は幼き過去を話し出した。

　

それはとても苦しく辛く私を締め付けた。