人生とは甘美である。Jun.M (ページ6)

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どれだけ私が深い悲しみに襲われようと世界では今この瞬間にもたくさんの笑顔が咲いている。

私たちはただ運がなかっただけなのだろうか。

僻んだ時期などとうに過ぎ去り、今をこうして生きている。

父がいなくなったあと、母は必死で働いた。

その結果職務中に過労で倒れた。

そのまま私のいるこの家には帰ってこなかった。

その後まだ幼かった私は仕方なく親戚に引き取られた。

造船所が潰れてからは、冷えきった仲だった。

だから私が受け入れてもらえるわけもなく、高校を卒業したら半ば追い出される形で家を出た。

それからは一度も会っていない。

どれだけ食事をまともにもらえなくても、
存在を無視されても、家政婦のように家で働かされても、
頭を叩かれても、住む家があるだけでただ助かった。

陳腐だが愛を、感じたのは、幼い時の私。

父と母がいなくなってからは私は愛など存在しない世界で生き続けていた。

好きな人も恋人もできたことなどない。

ただ、信じることができない私にとって、好意を持つことも、
私の世界では存在しなかったのだ。