花の剣士は今日も【栗花落カナヲ誕生祭2021】 (ページ1)

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緊急の任務ページ1

し「カナヲ。どうしても行ってきて欲しい任務があります。」

事の発端は今日の午前10時頃。

偶然、蝶屋敷にいた栗花落カナヲに話しかけたのは、そのカナヲの師範・胡蝶しのぶであった。

カ「なんでしょうか、師範。」

いつも柔らかい雰囲気を身にまとっているのだが、それとは打って変わって、いつになく真剣な顔をしていた胡蝶に対し「真面目な話なのだろう」と察したカナヲは、その場に正座した。

こういう時に目を合わせるのは、息が詰まってしまいそうだと、栗花落カナヲは思う。

どこまでも深い紫色の瞳に、細くしなやかな手足。髪はふんわりとしていてとても綺麗で、いわゆる「美人」というものなのであろう、とカナヲは思った。

し「今日は少し遠くの方なのですが...鬼を倒してきたあと、薬種を買ってきてほしいのですが」
カ「薬種、ですか。」

しのぶの言葉で現実に引き戻されるように、真剣話を聞く。でも何故か、今日はそうしなくても自然と耳に入り込む。何か違いがあるのだろうか。

し「買ってきてほしい薬種については、ここに書いてまとめてあります。早速で悪いのですが、お願いできますか？」

いや、自分の勘違いだったようだ。
相変わらずしのぶは＿＿否、自分の師範は、笑顔で人を安心させようとするような態度をとる。
だが、その笑顔でこちらも安心してしまうのだから、まさに思うつぼだ。

だからこそ、自分は＿＿

カ「分かりました。行ってきますね、師範。」

と、そう答えるしかないのである。