【2434】叶わない君と私の冴えたやり方

看病パロじゃないもん！ #11 ページ12

まずここはきっと叶くんのお家だ。

だって叶くんが居るし。

綺麗に整頓された小物ややけにいい匂いのする布団からもきっとそう。

じゃあ、何故私はここにいるんだろう。

改めて考えるとあの時の視界が歪んだ感覚は倒れた時のオプションか。

とんだ要らないオプションに呆れながらも少しずつ思い出していく。

倒れたことは何となく理解出来たが叶くんのお家(多分)に居るんだ？

普通だったら病院とか、事務室とかそういう類じゃん。

最近私に都合が良すぎると思うの気の所為…？

そんな小学生でも分かる予想を繰り広げながら寝たフリをキメる。

だって、どんな顔していいか分からないし、こういう時は寝たフリが1番って言ってたもん！

頭を優しく撫でられる感覚にまたもや飛び起きそう。

「君…意外と鈍感だよね、ずるいなぁほんと、」

そう言いながらも未だ手は髪をするすると撫でている。

もう何度目か分からない胸のざわつきに自分でも意識してしまう。

私のこの感情はきっと恋ではない、愛でもない…尊敬でもないはずだ。

…ただ、今、このザワついた感情を表す言葉を、私は持ち合わせていなかった。

「…晩御飯の続きしてこよ…ちょっと待ってて」

寝たフリをしたままの私を残してバタンと小さく音をたて帰って行った。

音を聞いて少し安心しつつぱちりと目を開ける。

「ふぅ…」

寝たフリって案外疲れるんだ…。

ずっと同じ体制でいたせいかいくらか肩も痛い。

ふかふかのベットから体を起こせばドアの前に佇んでいた叶くんと目が合う。

「えあ！？な、なんで！！」

「なんで…ん〜ご飯はもう出来てるから？」

はて…と言いそうなポーズをして少し考えたような動作をする。

「いや、なんで叶くんが疑問形なの！」

思わず突っ込みたくなる気持ちもみんなは分かってほしい。

ふふ、と楽しそうに笑った後に小さな鍋に入ったお盆をサイドテーブルにコトリと置いた。

「…もう体調大丈夫？ご飯食べれそう？」

おでこに手を当てられて、冷えピタなるものが貼ってあることに気づく。

熱があったのかぬるく水分を失ったそれがおでこにくっついている。

おでこに軽く手を当てて熱を図っているんだろうか。

それにしても顔が近い！！

「熱はもう無さそうだね…って顔赤いよ？」

推しと急接近したんだそれぐらい許して欲しいものだ。

「食べれそう？」

「うん…って自分で食べれるって！」

「はいはい、あーん」

…私と推しとの関係は間違っているだろうか(半目)

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