この歌、はじまりの詩【九条天】 (ページ3)

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第一章ページ3

『撮影おわったーーー』

今日は野外での撮影

マネージャーは相方の方に付いていってていない

けど、私はこのあとオフなのです

今日は午前の撮影だけなのです

『お疲れ様でした～』

｢お疲れ様！｣

黒いキャップ帽をかぶり、黒縁の伊達眼鏡をつけて私は街に出た

街にある大きなモニターに映し出される私たちSirena

うん、恥ずかしい、とても恥ずかしいです

そのあとに映し出されたのは今人気の男性アイドル、TRIGGER

まだデビューして間もないのに今じゃTRIGGERを見ない日なんてないってぐらいにはあちらこちらで見かけてる

何度か廊下ですれ違ったりとか、昔、ほんの少しだけ共演させてもらったって程度の関係

あっちもいろんなとこに引っ張りだこだし、仕方ないんだろうけどね

『さぁーて、何をしようかな』

特にすることも行くところも決めてないわけで、適当にぶらぶらする

たまには外をぶらつくのも悪くは無いよね～

…視線を感じる

人の気配は、ないね

あちらの者か…

たぶん、害はないだろうけど…(汗)

『すっごい見られてるなぁ』

別に、こんなことは日常茶飯事のことで慣れてはいるけど

あんまり見ないでほしいなぁ

なんて思ってると、どこからか、歌声が聞こえてきた

とても、綺麗な声

楽しそうに歌う歌声

自然と足は歌が聞こえるところ向かっていた

『っ、すごい… 』

そこにはたった9人の観客のために一生懸命に踊る7人がいた

観客はこんなにしかいないのに

楽しそうに歌って踊る7人がキラキラしていて

なんだかこっちまで楽しくなってくるような

そんな気持ちになった

自然と応援したくなるような、そんなあったかい気持ち

『 IDOLiSH7… 』

見たことも聞いたこともないそのグループ

でも、私の中で一つの確信が生まれた

“この子達は絶対に売れる”と

なんだかワクワクしてきた…！

『いつか共演できるといいな

一緒のステージで歌ってみたい…！

IDOLiSH7とっ！』

それが私が、IDOLiSH7というアイドルのたまごを知ったきっかけ